平塚・見附台地区に新文化拠点 「客席少ない」異論続出 市民説明会に100人

 JR平塚駅周辺の中心市街地活性化の柱と位置付ける見附台地区(平塚市見附町、錦町)周辺整備事業を巡り、市は12月に市民向け説明会を開いた。市や事業者側は、市民との協働や周辺商店街との連携を強調。市民からは「市の顔となる施設にしてほしい」と期待の声が上がる一方で、「数十年先の運営の見通しが甘い」「市民の声が反映されているのか」などと厳しい指摘が相次いだ。

 事業は約2・5ヘクタールの敷地に老朽化した平塚市民センターの後継施設となる新文化センター(仮称)や緑地、飲食店、商業施設などを整備する。市は事業者の募集を行い、11月に優先交渉権者を決定した。新文化センターは2022年に供用開始する予定。

 説明会は市教育会館(同市浅間町)で2回にわたって行われ、計約100人が参加した。コンセプトとして掲げた「ひらつかみっけ」の事業について、市や事業者の担当者が説明。「文化創造の発信拠点とし、周辺への回遊性を高めることで商店街の活性化を目指したい」と強調した。

 新文化センターのデザインについては軒や格子など和風をイメージ。かつて東海道平塚宿の玄関口に当たる見附が置かれたことから歴史的景観を重視した。商業施設も高さは2階建てまでとし、周辺の景観に配慮したという。

 一方で、新文化センターのホールの客席は約1200席の予定で、現在の市民センター(1400席)より少なくなる点について文化関係者からは異論が続出した。参加者の一人は「1200席では一流の芸術家を呼ぶことはできない。文化施設としては中途半端」と指摘。市側は「専門家から意見を聞き、施設面積や維持管理コストなどを総合的に判断した結果」と理解を求めた。

 また、新文化センターの利用者向け駐車場が確保されていないことに、設置を求める声も多かったが、市は「公共交通機関を利用してほしい」と呼び掛けた。

 このほか、主婦は「そこに行ったら何ができるのか。平塚には少ないオープンスペースや歩行空間を確保してほしい」と注文。別の男性は「中身がないハコモノ」とやゆしていた。

 整備計画を巡っては、同市の落合克宏市長はこれまでに、「できるだけ市民の声を反映させたい」としている。

市民向けに開かれた見附台地区周辺再開発の説明会 =平塚市浅間町の市教育会館

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