19年の長崎経済 漂う減速感 企業・団体トップ調査

 十八銀行系シンクタンクの長崎経済研究所(長崎市、小川洋社長)が県内主要企業・団体トップにアンケートした2019年県内経済見通しは、回復予想から悪化予想の割合を差し引いた判断指数(DI)が前年に比べ24・7ポイント下落し、プラス2・2にとどまった。人手不足や造船業の不振から先行きを懸念、減速感が漂う。一方で観光客増加への期待もあり、6年連続でプラスを維持した。
 回答割合は「横ばい」が前年並みの54・8%で最も多かった。
 「回復」は前年同様ゼロ。「やや回復」は11・4ポイント減り23・7%に後退した。プラス要素として世界遺産登録効果の波及やインバウンド(訪日外国人客)の消費拡大、新幹線やMICE(コンベンション)施設などJR長崎駅周辺再開発の進展が注目されている。
 一方、「やや悪化」は12・2ポイント増えて20・4%に達した。前年に回答企業が全くなかった「悪化」も1・1%あった。人口減少や少子高齢化、それに伴い慢性化する人手不足を問題視。大手造船の受注減から先行き不透明感が増し、景況感を押し下げている。
 同研究所の中村政博調査研究部長は「県内全体で見ると前年より不安が大きいようだが、個々の企業に聞くと半数近くが好業績を見込んでいる」と分析。経済浮揚に向けた課題として人手不足に着目し「人材の育成や待遇改善で魅力をアップさせる一方、ICT(情報通信技術)などの活用で生産性を上げ、付加価値を高められる企業に期待したい」とした。
 国内経済見通しのDIはプラス18・3。前年を38・4ポイントも下回った。9月開幕のラグビーワールドカップ(W杯)でインバウンド増加を見込むなど、緩やかな回復局面が続くとの見方がある。だが、10月の消費税増税後の冷え込み、米中貿易摩擦の長期化による輸出の下振れなどが不安定要因に挙がった。
 アンケートは毎年12月に選択式と記述式で実施し、今回は93人が回答。業種別の内訳は製造29、運輸9、水産1、建設7、卸売7、小売り11、電力・ガス・通信3、サービス14、その他12。

新年の県内経済の見通し

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