中町公祐が2日、横浜F・マリノスを退団しアフリカへの移籍を目指すことを発表した。横浜F・マリノスからは2年の契約延長オファーをもらった上での決断であったという。
話題となったのがその移籍先だ。アフリカ大陸、それもザンビアへの移籍を33歳にして目指すという内容だったからだ。今回は、そのザンビアについて少し紹介しよう。
ザンビアってどこにある?
ザンビアはアフリカ大陸の真ん中にある。上にはコンゴ民主共和国、下はジンバブエなどに挟まれており海はない内陸の国だ。
首都はルサカで標高はおよそ1300mと高く、気候は温暖。銅の生産が世界第7位となっており、ザンビア産の銅は日本でも使われているという。
元々はイギリス領北ローデシアであったが1964年に独立。東京五輪の最中であったため、開会式と閉会式で国名、国旗が違うという珍しいことになった。
そのために公用語は英語で、世界平和度指数ランキングでは48位とアフリカ屈指の平和な国として知られている。観光名所はヴィクトリアの滝、世界3大瀑布の1つだ。
サッカーは強いの?
1988年のソウル五輪で準々決勝に進出、カメルーンやモロッコ、アルジェリアなどと共にアフリカ大陸のレベルアップ、台頭を感じさせる国の1つであった。
しかし、ザンビアは他の国と違いその後ワールドカップに出場することができていない。それは、長らくガボン航空惨事の爪痕に苦しんできたからだ。1993年4月に起きたこの飛行機事故は乗客30名全員が亡くなり、登場していたザンビア代表メンバー、サッカー協会会長マイケル・ムワペらを失った。
復活の兆しが見えたのは、およそ20年後だ。2012年アフリカネーションズカップで優勝し、クリストファー・カトンゴがMVP、また同代表FWエマニュエル・マユカらと共に得点王にも輝いた。その後のワールドカップ予選では敗退したもののザンビア旋風を起こした。
2014年に日本代表と戦っているが惜しくも敗戦を喫している。2019年のアフリカネーションズカップも予選敗退しており、アフリカでもあまり強いと言えないのが現状だ。
現在の代表メンバーの多くは国内リーグの選手で一部がオーストリア、イスラエル、ロシア、トルコ、南アフリカなどでプレーしている。
ザンビア・スーパーリーグとは?
国内リーグは「ザンビア・スーパーリーグ」と言う。日本語版のwikipediaは長らく更新されていないためプレミアリーグ、18チームと名前やチーム数が古い情報となっているが、現在は20チームで戦い降格枠が4つと中々に厳しいリーグとなっている。
2018シーズンは3月に始まりは10月に終わった。2019シーズンは1月に始まり5月に終わる予定、その後9月から2019-20シーズンが始まる予定だ。これはアフリカネーションズカップが冬から夏開催に時期を移る影響で国内リーグも春秋から秋春シーズン制に移るための措置。中町は今月のシーズン開始に合わせて移籍するのではないか、と見られている。
昨年の王者はZESCOユナイテッド(上記集合写真)、ここ5シーズンで4度の優勝をしている絶対王者でここ10年では圧倒的な力を誇る。
アフリカ・チャンピオンズリーグでこれまで優勝したチームはなく、アフリカでも強い存在とは決して言えない。1990年にンカナ・レッドデヴィルズが準優勝したのが最高位である。現在はンカナFCを名乗っており、通算12度の国内リーグ優勝は最多となっており国内随一の名門と言えるだろう。
若手の台頭
2017年のU-20アフリカネーションズカップでザンビア代表チームは初優勝を果たした。FWのパトソン・ダカはMVPに輝き、現在はレッドブル・ザルツブルクでプレー。既にザンビアの最優秀スポーツマンに輝くなどアフリカ大陸を代表するタレントへと成長している。
レッドブルにはザンビア代表MFのエノック・ムウェプも2017年に獲得しており、リーフェリンクの期限付き移籍をしながら研鑽を積んでいる。
もちろん、日本代表FW南野拓実(写真左、中央がダカ)とはチームメイトであり、お互いに切磋琢磨している仲だ。
全体的にアフリカでは安定しながらもこれからの成長がまだまだ期待できるのがザンビアという国だ。
中町は「2013年より大学の同級生が代表を務めるNPO法人を通じてサッカーボールを送るという活動を始めました」と投稿しており、その縁がザンビアと中町を繋いだという。どのようなサッカーライフを過ごすのか楽しみである。