1年間の無病息災願い「貝津の獅子駒舞」 五島

 長崎県五島市三井楽町の貝津神社に伝わる県無形民俗文化財「貝津の獅子駒舞(ししこままい)」が3日、同町貝津地区一帯で繰り広げられ、住民らが1年間の無病息災を願った。
 三井楽町郷土誌によると、天照大神(あまてらすおおみかみ)が天の岩戸に隠れた神話にちなんだ正月行事で、地区内の各世帯で舞を披露し悪魔払いをする。てんぐの面を着けた猿田彦が怒る獅子を手なずけ、神の前で舞を奉納する場面などを表現している。
 貝津獅子駒舞保存会の会員ら約20人は午前9時に貝津神社を出発し、約20世帯を1軒ずつ回った。猿田彦と獅子2頭は座敷に上がると、笛や太鼓の音に合わせて跳びはねたり頭を振り回したりして、激しい舞を披露。訪問を受けた平松憲三さん(68)は「獅子舞が来ないと正月を迎えた感じがしない。今年も良い1年にしたい」と笑顔だった。
 神奈川県から帰省し猿田彦役を務めた北川哲行さん(43)は「子どもの数は減っているが、地域に古くから伝わる伝統を何とか受け継いでいきたい」と話した。

笛と太鼓の音に合わせて勇壮な舞を披露する猿田彦と獅子=五島市三井楽町

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