ソフトボール「バッテリーキャンプ」 大村で初開催 県内出身〝オールスター〟集結 トップの技 小中学生に指導

 小中学生を対象にしたソフトボールの「バッテリーキャンプ」が5日、大村市の大村工高グラウンドで行われ、全国の第一線で活躍する長崎県出身の選手らが、長崎県内の男女約280人に技術指導などをした。

 競技振興を目的に、長崎県ソフトボール協会が長崎県内の高校と協力して初めて開催。高校の指導者や、高校時代に全国制覇した日本代表の学生、実業団選手ら計15人が教えた。

 参加者は投手と捕手に分かれて練習。投手陣は理想的な投球動作を体に染み込ませて、上級者は変化球にも挑戦してこつをつかんでいた。捕手陣は捕球や送球の姿勢、足さばきを反復。試合中は投手の性格を理解して声掛けすること、ボールを手でこねたり打席の土をならしたりタイム以外で絶妙な間合いをつくることなど“女房役”の心構えも学んでいた。

 講師陣による模範投球もあり、一瞬でベース上を通過する直球や縦横に曲がる変化球に、子どもたちは「おー」と驚いた様子。サイン入りボールが当たるじゃんけん大会なども盛り上がった。

 参加した長崎KSCの中村海斗投手(川棚中2年)は「球筋が変わった感じがした。きょうのことも生かして全国(夏の全日本中学生男女大会)で2連覇したい」と満足げだった。

■「ソフト王国」確立目指して 

 「ソフトの魅力を広めたい」「指導者になって長崎に戻る」「子どもたちに日本一を目指してほしい」-。

 “ソフトボール王国長崎”の確立に向けて、長崎県出身の大学、実業団選手が集結した。新年の始まりに古里への思いを強めながら、地元の小中学生との交流を楽しんだ。

 日体大2年でエースの小山玲央投手(佐世保西高出身)は昨年、全日本大学選手権(インカレ)でV2を果たすと、全日本総合選手権も実業団を倒して初優勝した。大きく飛躍した右腕は「教えることは好きだし、長崎に貢献できる。もっと頑張って子どもたちの憧れの存在になれれば。男子ソフトをメジャーにしたい」と言葉に力を込めた。

 2014年長崎国体で少年男子の主将を務めた先村翼投手(大村工高出身)は今春、環太平洋大を卒業して、日本リーグの強豪、平林金属(岡山)へ入社予定。「全国大会での長崎の結果はいつも気にしてるし、近くだったら見にいく。上のレベルでもう少し現役を続け、教員で絶対長崎に帰る」と強い意志を示した。

 高卒の社会人1年目でU-19日本代表でも活躍したトヨタ自動車の佐藤光希捕手(大村工高出身)も「ソフト王国のプライドを持っている。長崎からこういう選手が出ているんだぞと、かっこいい姿を見せたい」と郷土愛をのぞかせた。

 長崎県が誇る“オールスター”が指導する姿に、多くの好選手を輩出した大村工高の山口義男監督も納得の表情。「初めての取り組みで不安もあったけど、講師の選手が頼もしかった。小中学生の指導者も熱心な方ばかりで、いずれ長崎に帰りたいという大学生たちも多い。これを第一歩にして、いい循環ができていけばうれしい」と期待を込めた。

模範投球を見つめる子どもたち=大村工高グラウンド
投球指導する小山投手(日体大、左)=大村工高グラウンド

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