メルセデスのルイス・ハミルトンは、2018年のF1ロシアGPでチームメイトのバルテリ・ボッタスに譲られて優勝したことは本意ではなかったとして、二度と同じ経験はしたくないと述べた。
第16戦ロシアGP決勝、ポールシッターのボッタスがレースをリードしたが、途中チームの指示でハミルトンを前に出した。優勝したハミルトンは、タイトル争いのライバル、セバスチャン・ベッテルとのポイント差を拡大することができた。
レース後、ボッタスもハミルトンも表情が硬く、ハミルトンはこの勝利を誇りに思えないと発言した。
シーズンを終えた後、このレースを振り返ったハミルトンは、「ああいうシナリオは二度と経験したくない」と語った。
「あのころ、チームとしては『ルイスがチャンピオンシップで十分ギャップを築き、追いつかれないようにするため、手を尽くそう。ダブルタイトル獲得のため、彼をサポートしなければならない』という感じだった」
「バルテリと僕は、事前にポジション交換について話をしたりしない。ふたりともコース上で戦ってポジションをつかむことしか考えていないんだ」
「あの週末はバルテリの方が速かった。彼が勝者にふさわしかった」
「すっきりしない出来事だった。(チームから)バルテリが前に出してくれると聞いた時、確か僕は『ペースを上げるよう彼に言ってくれ』というようなことを言ったと思う」
「予選では彼の方が速く、決勝では僕の方が速かった」
「彼が道をあけたので、前に出た。ああいう形で勝ちたいと思ったことはない。ドライバーなら誰でもそうだと思う」
「フィニッシュラインが近づくにつれ、心の中の葛藤が激しくなった。気持ちとしてはポジションを返したかった。でも、人生においても競技の世界においてもそうだけど、チャンスは決して逃してはならない。訪れたチャンスは必ずつかまなければならないんだ。気持ちを優先させていると、目指すポジションに立てないかもしれない」
「チームがああいう決断を下した。僕としてはあの後、彼にポジションを返したかったけれど、チームの選択に従うことにした」
「正しい決断だった。結局は必要なかったが、あの日は、どのように協力体制を敷くかという点において、重要な一日だった」
■「ボッタスはてごわいチームメイト」とハミルトンが称賛
ハミルトンは、ボッタスのチームへの貢献とドライバーとしての速さを褒め称えた。
「バルテリにとってはきつい一日だったはずだ。彼は真のチームプレイヤーであり、尊敬に値する」とハミルトン。
「素晴らしいチームメイトだよ。僕のチームメイトになるのは楽ではないが、同じように彼のチームメイトになるのも楽ではない。彼はとてつもなく速く、その上、速さが増してきている」
「僕はメルセデスに来て6年だったが、彼は2年目だった。それでも油断できないんだ」