9歳のヒロイン・マチルドは、歳の割にとても冷静な女の子。子供なのに彼女がしっかりしてしまっているのには訳があります。彼女を育てているシングルマザーの母親が、精神的にとても不安定でマチルドがお母さんのように母親の面倒を見ているんです。変に大人になっちゃってるもんだから、学校でも同級生のお友達にはなかなか馴染めない。そんな彼女が仲良くなったのは、一匹の小さなフクロウです。
孤独な彼女にしか声が聞こえないフクロウとの会話ですが、ファンタジー映画とは思えないくらい、いい意味でフクロウがかわいくない! とっても賢くて、ウイットに富んだオヤジなフクロウがマチルダを守るために大活躍してくれます。
ユニークな本作の監督は、フランスで90万人を動員する大ヒットを飛ばした「カミーユ、恋はふたたび」の監督・脚本・主演を務めたノエミ・ルヴォウスキー。フランスのアカデミー賞といわれるセザール賞に何度もノミネートされてきた実力派でもあり、本作ではマチルドの母親役を自ら熱演しています。実は、この話、監督自身の少女時代を描いているそうで、あの強烈なお母さんからクリエイティブなルヴォウスキー監督が生まれたのか、と思いながら鑑賞するとまた一つ楽しみ方が増えるのではないでしょうか。★★★★☆(森田真帆)
監督・脚本:ノエミ・ルヴォウスキー
出演:リュス・ロドリゲス、ノエミ・ルヴォウスキー、マチュー・アマルリック
2019年1月12日(土)から全国順次公開