カルロス・ゴーン氏の意見陳述翌日に発表された「リーフ e+」(イープラス)
2019年の年明けも間もない1月9日、横浜にある日産グローバル本社ギャラリーで「リーフ e+」(イープラス)が発表された。
折しも発表前日、東京地裁で日産の特別背任事件に関しカルロス・ゴーン元会長が「I am innocent」と無罪を主張する意見陳述をしたばかりとあって、リーフ e+の発表会場は一種異様な熱気に包まれていた・・・かと思いきや、集まった多くの報道陣は既に冷静さを取り戻した(?)ようで、満員の会場も混乱は見られなかった。
しかし日産リーフは、ゴーン氏が推し進めたEV施策の先鋒モデル。偶然とはいえ、なにか因縁めいたものを感じさせる。
見た目の差は少ないが中身はベツモノ!
日産のEV(電気自動車)「リーフ」は、2017年に発表された現行モデルで2代目。世界50か国以上で既に38万台を販売する、No.1量販EVだ。
今回のリーフ e+は、その2代目リーフの販売台数をさらに加速すべく追加された新たなバリエーションである。
パッと見たくらいでは、内外装のデザインやカラーリングなどからベースモデルとの違いは感じられないリーフ e+だが、中身はグッと進化している。バッテリー容量を増やし(40kWh⇒62kWh)、最高出力で約1.4倍もアップする(110kW⇒160kW)など性能を向上。電気自動車で必ず話題になる航続可能距離についてもベース車比で4割増(JC08モード570km/WLTCモード458km)と、大幅に伸ばした。それでいて室内や荷室容量は犠牲になっていない点も注目される。
詳細は下に記したベースモデルとの比較表でじっくり確認して欲しい。
あえて冒頭で「パッと見たくらいではベースモデルとの違いは感じられない」と記したが、実はフロントのリップスポイラー部に青の差し色が加えられ、また普段は蓋がされる充電ポートにも「e+」ロゴが入るなど、さりげなく差別化が図られている点は改めて紹介しておきたい。
オートックワンでは、自動車評論家の渡辺陽一郎氏が実際にリーフ e+(イープラス)をテスト済み。速報試乗レポートでいち早くご紹介しているので、こちらも併せてチェックして欲しい。
V2Hの仕組み紹介用に、実物大の住宅を建てちゃった!?
「リーフ e+」(イープラス)発表会場では、併せて「Nissan Energy Home」(ニッサン エナジー ホーム)のプレゼンテーションも行われた。
日産グローバル本社ギャラリーのメインステージの中央にはリーフ e+、左右には実物大の住宅を模したデモンストレーション・ハウスが建つ。屋根にはソーラーパネルも装備されている。
両者は「Vehicle to Homeシステム」(V2H)を介して相互に接続。家とクルマの間で電力を相互供給できる仕組みが構築されている。ソーラーパネルの電気をリーフに蓄電して夜間の家庭用電気として利用したり、災害時などの停電時にリーフのバッテリーから住宅へ電気を供給したりすることも出来る。通常のリーフ(40kWh版)でも一般家庭のおよそ3日間、リーフ e+の62kWh版大容量バッテリーなら、実に4日分の電気が供給できるというから心強い。
Nissan Energy Share[日産公式動画]
ノーマルモデルに50~73万円増は高い? 安い??
リーフ e+の価格だが、「リーフ e+ X」が416万2320円、上級グレードの「リーフ e+ G」が472万9320円(共に消費税込)。ベースモデル「X」に愛し約50万円高、「G」に対し約73万円高の設定となっている。これを高いとみるかどうかは、航続可能距離がベースの322kmから458kmへ大幅に伸び、動力性能も格段に向上した点をどう評価するかで2つに分かれるだろう。
日産 リーフ e+、日本での発売は2019年1月23日(ニッサンの日!)。追って米国が2019年春頃、欧州では2019年半ばになる模様だ。
[筆者:トクダトオル(オートックワン編集部)/撮影:オートックワン編集部・日産自動車]