団地リノベで若夫婦呼び込め 2DK2戸合体、月8万円で

 空き室が増えている団地の上層階に若い世代を呼び込もうと、神奈川県住宅供給公社(横浜市中区)が、公社の賃貸住宅で初となる試みに乗り出している。相模原市南区の相武台団地で、5階建て賃貸住宅の最上階に隣接する2戸を一つの住戸にリノベーションした。完成した2タイプの住戸の入居受け付けは今月開始される予定で、公社はニーズ次第で今回の取り組みを広げていく考えだ。

 和室中心の2DK(専有面積約36平方メートル)の2戸が一つにまとめられ、改装後はリビングやセカンドリビング、主寝室などを備えた洋室に衣替え。8日の関係者向け内覧会でお披露目された2タイプの住戸は、若年層にアピールする工夫が施されている。

 各住戸はそれぞれ、子どものいない20代後半から30代の共働き夫婦と、子育て世帯を想定。共働き夫婦向けは「回遊する自由空間」をテーマとして、玄関からキッチンまで土足で移動できる作りにした。子育て世帯向けは「暮らしに合わせて進化する家」がテーマで、アイランド型のキッチンや部屋を仕切れる可動式の間仕切り家具などを備えた。

 公社の取り組みの背景には、団地住民の高齢化があるという。

 相武台団地は全体で2531戸あり、うち11棟448戸が公社の賃貸住宅。公社が昭和40年代に開発してほぼ半世紀が経過し、団地全体の高齢化率(65歳以上)は47・3%と、同市平均の25・4%に比べて大幅に高くなっている。

 また子どもが大きくなって手狭になり、団地を退去する人が多いほか、エレベーターがないため最上階の5階が空き室になりがちなこともある。

 今回のリノベーションでは2戸を隔てる壁が建物を支える構造壁であるために撤去できず、2戸を行き来するにはいったん玄関を出て、隣り合う玄関から入り直す必要があるが、不便さを少しでも解消しようと、ベランダ側からも行き来できるようにした。

 改装費は二つの住戸合わせて約1400万円。家賃は従来の2戸分に当たる月額8万円とした。内覧会には団地に住む主婦らも訪れ「この改修を5階でなく2階ではできないの」と尋ねる人もいた。

 同公社は「今回の反響次第では、このリノベーションのやり方を相武台団地や他の公社の賃貸住宅にも拡大していく可能性もある」という。入居の申し込みは15日から22日まで。問い合わせは入居者あっせん業務受託者の大峰(たいほう)商事電話042(742)1054。

アイランド型のキッチンを備えておしゃれな雰囲気になった一室=相模原市南区、相武台団地

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