横須賀の長沢カバン店、今月閉店 80年の老舗に惜しむ声

 横須賀中央地区の三笠ビル商店街(横須賀市大滝町)に入居する「長沢カバン店」が、今月いっぱいで閉店する。地域に根差したかばん店として、商店街がビル化する以前から親しまれてきた。常連客からは「なじみの店だけに寂しい」と惜しむ声も聞かれる。

 店によると、詳しい創業時期は不明だが、80年ほど前にドブ板通りで開業。ビル化前の三笠銀座商店街に移り、1959年に完成した三笠ビルでも営業してきた。

 近年は郊外型のショッピングセンターとの競合が増え、店舗の半分をテナントに貸し、残り半分の約120平方メートルでかばんやリュック、財布などを販売してきた。以前はオリジナル商品を取り扱った時期もあったという。

 同商店街協同組合副理事長も務める3代目の長澤隆男さん(53)と両親、従業員の4人で切り盛りしてきたが、「今後、両親が退いた後で、従業員を新たに雇って続けていくか悩んだが、店を畳むことにした」という。今後は店舗をテナントに貸す予定だ。

 店では昨年12月から閉店セールを実施しており、割引された品々を求める客でにぎわっている。「12月時点の在庫500点は全て売れ、キャリーバッグなど人気商品は追加で仕入れている状況。感傷に浸っている暇もない」と長澤さん。「これまで良い品を販売し、長く使ってもらおうとアフターケアにも力を入れてきた。閉店は時代の流れだが、『残念ですね』『寂しい』と声を掛けてくれるのはありがたいことです」と話している。

閉店セール中の長沢カバン店 =三笠ビル商店街内

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