このミルクセーキがスゴい!なぜ、こうも懐かしさを感じる味なのか?

もはや絶滅の危機に瀕する「ミルクセーキ」。そんな中、かろうじて入手可能な「パレード」という謎のブランドのミルクセーキが激旨な上、なぜか誰もが懐かしさを感じてしまうミステリー。一体なぜ!?

ミルクセーキの語源

恐らく皆さんは日常的にそれを飲む、という習慣を失くしてしまったのではないでしょうか?

ミルクセーキです。

もはや絶滅の危機に瀕している、といっても過言でもないでしょう。コンビニでもスーパーでも自販機でも純喫茶でもめったにお目にかかることはなくなってしまいました。

ところで、『ミルクセーキ』の〝セーキ〟とはなんでしょう?

元々は『ミルクをシェイクする』の〝シェイク〟が語源のようです。

発音しにくいから〝セーキ〟になったという説が有力なようですが、だったら『マックシェイク』はどうなるんだ。『マックセーキ』とは呼ばないじゃないか。

そんな疑問も残りますが、まあそこは置いておいて、今回是非ともみなさんにおススメしたいミルクセーキがあるので早速。

パレード・ブランド

それがこちら、Parade(パレード)のミルクセーキ復刻版です。

これが本当に激うま。しかもなぜか飲んだことがない人にとっても『懐かしい』を感じさせる不思議なギミックを備えた絶品飲料なのでご紹介します。

というわけで、こんにちは。〝ミルクセーキ愛〟が止まらない放送作家の長谷川大雲です。

さて。この『パレード』というブランド、アラフィフ以上の中には見覚え聞き覚えがある方もいるのではないでしょうか?

昭和40年代。全国の銭湯を中心に扱われていたブランドで、サイダーをはじめ様々な種類の瓶入り飲料が発売されていました。

当時は、このパレードのミルクセーキも瓶入り。

そう。銭湯といえばやはり瓶入りです。風呂上り、手を腰に当てゴクゴクと喉を潤す光景が日本中のあちこちの銭湯で見られました。

手を腰に当てた時に様になるのはやはり瓶入りでなくてはなりません。

まさに昭和の銭湯には欠かせなかった名脇役にして瓶入り飲料の中でも一大勢力を誇っていたブランド、それがパレードなのです。

パレードブランドの謎

そんな『パレード』には、ある不思議が!?

実はこの『パレード』を製造販売するのは一社ではなく複数。

不思議ですよね?

たとえば『コカ・コーラ』は、コカ・コーラ社の商標であり当然、独占販売。それ以外の飲料メーカーから『コカ・コーラ』が発売されたら大問題ですが、『パレード』は様々な企業の製造販売が許されます。

なぜか?

『パレード』は中小企業の集まりによって作られた統一ブランドで1965(昭和40)年に全国清涼飲料水工業会が中小メーカーの統一ブランドとして開発したもの。

統一ブランドとは、『零細企業がみんなで集まって一つのブランドを盛り上げていきましょう』という、いわば大企業に対抗するために組織された中小企業の組合的な意味を持つブランドなのです。

そんな統一ブランドで有名なのが、こちら!

そう。クリスマス名物の『シャンメリー』

webで確認できただけでも実に22社にも及ぶ中小企業が『シャンメリー』を製造販売しています。

一方、『パレード』はというと、一時は60社以上が製造販売していましたが、今やわずか数社を残しほとんどが撤退したようです。

そしてその内の一社が今回紹介する『パレード・ミルクセーキ』を製造販売する、広島に拠点を置く宝積飲料(ホウシャクインリョウ)さん。

昭和を感じさせるノスタルジックなデザインに身を包む缶ジュースタイプのミルクセーキで内容量は245ml。まあこれが入手困難なこと困難なこと。

都内のコンビニやスーパーではまず売られていません。手に入れるにはアマゾンでまとめ買いするか、自販機を見つけるしかありません。

但し、これが売られている自販機もまず、見当たらない。

自分が確認しているのは、西池袋と板橋区大山の2カ所のみ。

いずれもオール100円のイエローカラーの自販機です。

一つは、池袋西口から徒歩5分、『池袋プラザ』というカプセルホテルの入り口付近に置かれています。

※『池袋プラザ』東京都豊島区池袋2-12-3

もう一つは板橋区大山駅から徒歩3分、焼肉チェーン『牛繁』の小道を挟んで真向いに設置。

※『牛繁』大山店 東京都板橋区大山町14-3コーポホリコシ1F

私は大ファンなのでアマゾンで定期的に購入するようにしていますが、30本入りのケース販売しかされていないので、そんなにいらないよ、という方は是非、近所の自販機に売られていないか見つけてみてください。

なぜ、懐かしさを感じるのか!?

さて。そんなパレードのミルクセーキの缶には、こんな言葉が記されています。

『あの頃、飲んだ甘く懐かしい味。あの頃の思い出が鮮やかに蘇る・・・』

これ。まさにその通りなんです。しかも不思議なのが、あの頃、飲んだことがない人たちにとっても懐かしい。

私は世代的に子供の頃からミルクセーキに親しんできたし、オリジナルのパレードのミルクセーキも飲んだことがあり、この復刻版を飲んで『懐かしさ』を感じるのは当然です。

ところが、過去に飲んだこともないのに、これを私の勧めで飲んだ人は全てこう口にするのです。

「懐かしい!」

その中には小6の姪っ子も含まれます。

「いやいやいや。そんなわけないじゃん。だってミルクセーキなんか飲むの初めてでしょ?」

私がそう言うと、姪っ子はコクリと頷きこう返した。

「うん。でも、懐かしいものは懐かしいんだから仕方ないじゃん」

本来、「懐かしさ」とは喜びでも悲しみでも怒りでもない、なんとも説明しがたい別の感情であり、強いて言うなら過去の経験則から導き出される切なさを伴うノスタルジー。

何かしら過去の想い出が詰まっているはずであり、例えば『新型iPhone』に人は決して〝懐かしい〟を感じないだろう。

新型のiPhoneに懐かしさを感じる人がいるとしたら、それは多分、未来から来た人である。

さて。話がそれてしまった。というわけで、過去に飲んだことのない人でも〝懐かしさ〟を感じるパレードのミルクセーキ。

甘くて優しくてどこか切ない味わいは、ちょっとした癒しの効果もあり、飲むとホッとさせられます。

そんな飲み物を私は他に知らない。街角に佇む自販機の中にそれを見つけたら、是非一度試して欲しい一品です。

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