元徴用工への被爆者手帳交付命令 長崎市、控訴しない方針

 戦時中に三菱重工業長崎造船所(長崎市)に徴用され、原爆に遭ったとして韓国に住む男性3人が長崎市と国に被爆者健康手帳の交付などを求めた訴訟で、3人への手帳交付を市に命じた長崎地裁判決を巡り、市が控訴しない方針を固めたことが10日、分かった。今後、国とも調整の上、正式決定するとみられる。

 3人は2014~16年、市に被爆者健康手帳の交付を申請したが、市は市内にいた裏付けがないとして却下。長崎地裁は8日、3人の長崎造船所での作業内容や被爆時に関する証言は「不合理・不自然な点がなく、内容も具体的」などとして市に手帳交付を命じた。

 被爆を裏付ける証人などがない中、手帳交付を命じた判決は珍しい。3人とも現在90歳を超えており、支援団体は9日、市に控訴断念を要望。市側は「なるべく早く結論を出す」と答えていた。

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