きょう成人の日 20歳で起業 高田 秀人さん

 仕事はパソコン1台、どこででも24時間フル稼働-。長崎県佐世保市出身の高田秀人さん(20)は自分探しの末、昨年長崎大を休学し、コンサルティングの個人事業主として起業した。「思いつきと勢いで起業したけれど、働くって楽しい。目指すは1兆円を稼ぐ会社」
 高田さんが自分探しを始めたのは、受験を意識した高校2年の時。「良い大学に行けば、良い会社に行ける」。そう繰り返す先生の言葉に真剣に向き合った。しかし、「自分は何になりたいんだろう、何をしたいのだろう…」。考えれば考えるほど分からなくなった。
 ヒントを得ようと歴史、IT関係、マーケティングなど200冊以上の本を読みあさったが答えは出なかった。だが「将来は起業したい」という思いを漠然と抱くようになり、長崎大経済学部に進学した。
 高田さんが、起業の決断をしたのは大学2年の昨夏。「人生は自分の選択だ」。知人の社長からの助言で、起業を先延ばしにしていると思い至った。その3カ月後に個人事業主として起業し、休学。本で得た知識を生かし、県内外の学生や社会人に起業時のアドバイスをするコンサルティングが仕事になった。昨年は最大で月70万円稼いだが、最低で収入ゼロ。それでも「やりたいことをかなえたから、働くことは楽しい」。
 国は働き方改革を推進しているが、高田さんは「自分のやりたいことを突き詰めて、それをかなえられない労働環境を変えないといけない」と考える。自身が長崎で働くことについて「長崎は地方だから仕事がないと諦める人が多い。だから自分が地方で働いて成功する姿を見せることで、その概念を覆したい」。
 自分の夢を語ると、周囲から鼻で笑われることが多い。「失うものはないから失敗していいし、今はやる気しかない。いろんな人の夢を全力で応援する大人になりたい」。大人の仲間入りを機に心に誓っている。

「いろんな人の夢を全力で応援する大人になりたい」と語る高田さん=長崎市内

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