好成績を続けてこそエース 過去5年で最も安定して勝っている投手は…【セ編】

巨人・菅野智之【写真:Getty Images】

5年平均で10勝以上を挙げているのは巨人菅野、阪神メッセンジャー

 プロ野球の投手の中には、短期間だけ大活躍して以降は姿を消していく例も散見される。2年目以降、相手打線に研究されて勝てなくなったり、故障やけがに泣く例も少なくない。何年間も続けて好成績を挙げてこそ「エース」の称号を得ることができる。過去5年間の勝利数のトータルを出してみた。

◯セ・リーグ 2014~2018年、通算勝利数20傑

1菅野智之(巨)63勝(35敗、910回1/3)防1.99
2メッセンジャー(神)56勝(45敗、904回)防3.07
3ジョンソン(広)46勝(22敗、595回2/3)防2.52
4野村祐輔(広)44勝(30敗、619回1/3)防3.60
4小川泰弘(ヤ)44勝(35敗、666回1/3)防3.42
6石川雅規(ヤ)42勝(47敗、662回1/3)防4.47
7大瀬良大地(広)41勝(26敗、609回2/3)防3.34
8藤浪晋太郎(神)40勝(34敗、661回)防3.36
9能見篤史(神)38勝(47敗、661回)防3.68
10井納翔一(De)35勝(41敗、659回)防3.69
11大野雄大(中)35勝(39敗、677回)防3.38
12山口俊(巨・De)32勝(26敗、552回)防3.57
13マイコラス(巨)31勝(13敗、424回2/3)防2.18
13又吉克樹(中)31勝(21敗、359回2/3)防3.00
15久保康友(De)29勝(23敗、434回)防3.77
16田口麗斗(巨)28勝(27敗、485回1/3)防3.19
17前田健太(広)26勝(17敗、393回1/3)防2.33
18内海哲也(巨)25勝(28敗、415回)防4.03
19岡田明丈(広)24勝(15敗、369回)防4.17
19岩貞祐太(神)24勝(34敗、438回1/3)防3.72

巨人のマイコラスは3年で31勝をマークしMLBでも最多勝に

 5年平均で10勝以上をマークしているのは、巨人、菅野と阪神メッセンジャーだけ。菅野は両リーグ最多の63勝、しかも防御率は1.99。昨年はハイレベルな成績で2年連続沢村賞に輝いたが、当代一のエースだと言えよう。投球回数も楽天、則本の965回1/3に次ぐ910回1/3だ。

 阪神のメッセンジャーは、MLB流に言えばイニングイーターと言うことになるだろう。多少打たれても責任投球回は必ずクリアする。毎年3000球前後を投げるが故障知らずだ。

 広島は3位ジョンソン、4位野村、7位大瀬良と傑出したエースはいないが、質の高い先発が揃っている。17位に2014、15年で26勝してメジャーに移籍した前田健太がいるが、前田の抜けた後をこの3人が中心に盛り立ててリーグ3連覇を果たした。現役最多勝の163勝を挙げているヤクルト、石川は今月22日に39歳になるが、過去5年で42勝。しかし防御率は良くない。

 ここ2年の不振で勝ち星が増えていない阪神の藤浪も過去5年で40勝。3年前まではメッセンジャーと並ぶ両エースだった。13位のマイコラスは3年で31勝。防御率が素晴らしい。MLB復帰1年目で最多勝を挙げたが、NPBでの実績も同僚の菅野に次ぐ優秀なものだった。

 同じく13位には中日の又吉の名前が。救援投手だが、大車輪の活躍で勝利に絡むことが多かった。昨年は不振に陥ったが、中日としてはどうしても復活してほしい投手だろう。この数字を見ると「2桁勝利」がいかに難しいかを実感する。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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