13日の試合でオマーンを相手に1-0と辛勝し、勝点を6に乗せた日本代表。決勝トーナメント進出を決めた。
現在グループFで2位となっている日本は、17日の試合でウズベキスタンに勝利すれば首位に。逆に引き分け以下ならば2位のままとなる。
首位になれば、ベスト16での相手はグループEの2位。
2位になった場合は、相手はグループBの2位となる。
前者の場合、対戦する可能性があるのはサウジアラビアかカタール。後者の場合はオーストラリア、シリア、そしてパレスチナだ。相手だけを見ると、日本はむしろ負けて2位になったほうがやりやすそうな感じもするが…。
対戦する可能性があるこの5カ国について、この2試合を詳しく解説していこう。
日本がグループF首位になったら…相手はグループE2位
グループB1位:サウジアラビア
日本と対戦する可能性が出る条件:第3節でカタールに敗れる
グループステージ第1節:北朝鮮戦 4-0 ◯
グループステージ第2節:レバノン戦 2-0 ◯
昨年夏のワールドカップに出場したサウジアラビアは、ピッツィ監督が留任したものの選手はかなり入れ替わっている。若手選手への切り替えは今のところ成功しており、レギュラーに30代の選手はアル・マカファイしかいない。
繰り広げるサッカーはポゼッションを基盤としたもので、アンカーに入るアブドゥラー・アティーフが上下動をしながらボールを繋ぎ、2列目とウイングのテクニックを生かしていく。
アル・マカファイは中盤のオールラウンダーで、アル・ビシは左利きの小柄なパサー。アル・ドサリは加速力を生かしたアタッカーで、外から積極的に中を狙っていく。
キーとなるのはウイングのバヒーブリで、切れのある仕掛けとシュートが魅力。レバノン戦のゴールはまさにその能力が発揮されたもの。
そして注目したいのがワントップのアル・ムワラッド。得点力はそれほど高いわけではないのだが、世界トップクラスのスピードを持つ選手だ。彼がいるのでカウンターというオプションも生きる。
逆に言えば、このチームの前線には全く高さがないので、日本にとってはスピードとパスワークさえ抑えれば…ということになろう。
グループB2位:カタール
日本と対戦する可能性が出る条件:第3節でサウジアラビアに引き分け以上
グループステージ第1節:レバノン戦 2-0 ◯
グループステージ第2節:北朝鮮戦 6-0 ◯
3年後にワールドカップ開催を控えているカタール。一時期は本当に大丈夫か?という状況で、初出場のホスト国が大敗してしまう事態も予測されるほどだった。
しかしこのところは徐々に成長を見せており、フェリックス・サンチェス監督の下で新しいポゼッションサッカーを完成させつつある。
その鍵となっているのがセンターバックの2枚で、どちらもとにかく足元がうまくパスを繋げ、ドリブルで持ち出すこともできる選手。15番のヒシャムはレバノン戦で美しいフリーキックも決めている。
そして最も重要な存在なのが22歳の新星ストライカー、アルムエズ・アリ。圧倒的なスピードで見せる飛び出し、両足で放つ鋭いシュート、そしてその決定力。セバスチャンが去ったあと見つけられなかったエースがついに発掘された。
左サイドのアクラム・アフィーフも天才アタッカーとして評価されただけの才能を見せており、そのキレあるドリブルとクロスは魅力的だ。
右サイドからはベテラン司令塔のアル・ハイドゥースがゲームを組み立て、そこにオールラウンダーのハーティム、フーヒ、ブディアフが絡む。
また、右SBにはクラブではセンターバックを務める攻守兼ね備えたコヘイヤ、左SBには攻撃的な二人の「アブドゥルカリーム」ハサンとサーラム…というのもいいバランスだ。
日本がグループ2位になったら…グループB2位と対戦
グループB2位:オーストラリア
日本と対戦する可能性が出る条件:第3節シリア戦で引き分け以上
グループステージ第1節:ヨルダン戦 0-1 ●
グループステージ第2節:パレスチナ戦 3-0 ◯
初戦でヨルダンに手痛い敗北を喫したオーストラリア。とはいえ、中東の暑い気候に弱いことはよく知られており、しかもメディアの関係で2試合とも昼開催となれば、苦戦は必至である。
ポステコグルー体制で組み上げられたポゼッションサッカーは、グラハム・アーノルド新監督を招聘してからも変化はない。そもそも、今のオーストラリアにはケネディのようなパワー系FWはほとんどいない。
それもポステコグルーら新世代の監督がAリーグで作ったパスサッカーブームから10年が経っており、ハイボールに対応できるのもサブに入っているヤヌくらいである。
それもあってどうしてもがっちり守られると苦しく、ヨルダン相手には中途半端なプレーからピンチを作ってしまった。
反省して臨んだパレスチナ戦ではサイドから徹底的に仕掛けることを強調し、いきなりの枠内シュート2本で2ゴールという効率性で勝利への道を歩むことに成功した。
絶対的司令塔のアーロン・ムーイがメンバーから外れてしまったため、ゲームを作れる選手はいない。その分ウイングのメイビルらの飛び出しやドリブルが攻撃の鍵を握っている。
ストライカーのジェイミー・マクラーレンはそれほど高さがないが、地上戦での得点力は高い。彼へのボールを遮断することが重要になるだろう。
グループB3位::シリア
日本と対戦する可能性が出る条件:第3節オーストラリア戦で勝利。もしパレスチナがヨルダンに勝利していれば得失点差勝負に。
グループステージ第1節:パレスチナ戦 0-0 △
グループステージ第2節:ヨルダン戦 0-2 ●
タイ代表に続き、アジアカップ開催中に監督を交代させるという大鉈をふるったシリア。それも仕方がないという混迷を感じる2試合であった。
パレスチナ相手には最初かなり押し込んだが、ハリビンが守備にあまり関与しないことからスペースが空き、カウンターで簡単に押し返されるという試合に。
勝たなければならないヨルダン戦ではかなり攻撃的なシステムで挑むも、相手の守りにかっちり前の5枚が合ってしまったことで動きが乏しくなり、逆に攻撃ができなくなっていた。
ヨルダンが得意とするカウンターにもまったく対応できず、そもそも攻撃から守備の切り替えの際に人数が足りず、タマル・ハジが引き出されると中央に誰もいないという問題外の状態だった。
チーム状態は最悪だと言えるが、監督交代がどう出るだろうか。アル・スーマーやオーマル・ハリビン、アル・マーワスなど攻撃陣は豊富なだけに、何かが変われば…。
なお、2位に入るためにはヨルダンがパレスチナに敗れる必要があり、勝点4で並んで得失点差勝負になる。
ちなみに、ヨルダンとバレスチナはもちろん隣り合った国であり、シリアとパレスチナはどちらもエジプトリーグで外国人枠に扱われない特別国という関係。
まるで包囲網のようになっているが…オーストラリアはシリアに敗れれば一気に最下位転落の可能性もあるわけだ。
グループB4位:パレスチナ
日本と対戦する可能性が出る条件:第3節ヨルダン戦で勝利した上で、オーストラリアがシリアに敗れる。
グループステージ第1節:シリア戦 0-0 △
グループステージ第2節:オーストラリア戦 0-3 ●
初戦でシリアに引き分けた時には「おおっ」と思わせたパレスチナ。他国生まれの選手を多く引き入れており、ノランブエナとカンティジャナはチリ、ワディはエジプト、アル・バダウィはアメリカ、出場していないがムスタファはアルゼンチンだ。
ただ、だから質が上がっているかと言われると、かつて活躍していたエースのアシュラフ・ヌーマンがいた時代からそこまでは…。という感じである。
全体的には一長一短の選手が多く、その中にノランブエナのようなオールラウンダーがちょこちょこいるというチーム構成。
攻撃の中心は左利きのタマル・サヤムで、長身であるがテクニックを生かした豪快な突破、鋭いキックが特徴だ。外からゴールを狙ってくるカンティジャナの一発も期待できる。
トップはヤシル・ピントが比較的ポストタイプ、ワディが重戦車タイプ。彼らを生かしたカウンター攻撃が命綱である。
ただ、守備の雑さはどうしても否めないところがあり、オーストラリア戦では外から外に動かされて揺さぶられ、守備を崩されてしまっていた。安定感という点では期待できないところだ。
しかし第3節の相手となるヨルダンはすでに決勝トーナメント進出を決めており、叩けるチャンスはある。日本としてもどちらかと言えば彼らが来てくれたほうが…。