上河内岳|南アルプスの山々を一望!スリル満点の吊り橋もある中級者向けコース 長野と静岡の県境にある「上河内岳」は、山頂から南アルプスを見渡せる絶景が素晴らしい200名山です。畑薙大吊橋から1泊2日で登るルートが一般的ですが、聖岳からの縦走もできます。そんな上河内岳の登山コースからアクセス、山小屋情報、駐車場情報などを紹介します。

南アルプスの山々の眺望がすばらしい!上河内岳

  • 標高: 2,803m
  • 山頂所在地: 静岡県静岡市・長野県飯田市
  • 山域: 赤石山脈
  • 最高気温(6月-8月): 15.9℃
  • 最低気温(6月-8月): 2.4℃

参考:ヤマレコ
上河内岳は、南アルプス南部、静岡市と長野県飯田市にまたがってそびえる標高2,803mの山で、日本二百名山に数えられています。百名山の聖岳や光岳を結ぶ南アルプス主稜線上にあるため、よく縦走の途中で登られることも多い山ですが、360度の大パノラマ広がる展望があり、まさに隠れた名山!急登や日帰りが不可能なロングコースということもあり、体力のある中級者以上におすすめの山です。

1泊2日で行ける、南アルプスの山々を望む展望台のような山

山頂は360度の展望があり、聖岳や赤石岳をはじめとした南アルプス南部の名峰の数々を一望できる絶景が広がっています。また、遠くは中央アルプスの山々や富士山をも望むことができ、抜群の展望が期待できます。距離が長く体力を要するコースではありますが、長い吊り橋や深い森、森林限界を越えた稜線付近のハイマツ帯では雷鳥との遭遇率も高く、変化に富んでいて楽しく登山ができるでしょう。

台風によって一部崩落地あり?

2018年の台風の影響により、登山道の一部と橋が崩落している箇所があります(2018年10月時点)。
特に注意が必要な箇所は以下の通りです。

・1号、3号吊り橋(ヤレヤレ峠~ウソッコ沢小屋間)
・5号吊り橋(ウソッコ沢小屋すぐ先)
・横窪峠~横窪沢小屋間の登山道

上記地点の吊り橋は流され、横窪峠~横窪沢小屋間の登山道は崩落しています。

必ず登山道の情報を確認してから入山するようにしてください。

上河内岳の天気

上河内岳に行く前に現地の天気をこちらでCHECK!

てんきとくらす(上河内岳の週間天気予報ページ)

茶臼岳登山口から登る、中級者向け1泊2日のコース

それでは、早速上河内岳へのおすすめのコースを紹介します。
上河内岳に最短ルートで登るなら、茶臼岳登山口から登るのが最短ルートです。
他にも、聖岳方面からの縦走や、光岳方面の縦走でも上河内岳に登ることができますよ。

1日目

  • 距離: 約17.3km
  • コースタイム: 約14時間35分
  • 標高差: 1,840m
  • 日程: 1泊2日
  • 難易度: ★★★☆☆

参考:ヤマプラ
茶臼岳登山口(40分)→ヤレヤレ峠(70分)→ウソッコ沢小屋(110分)→横窪沢小屋(60分)→展望ベンチ(105分)→茶臼小屋(宿泊)

ここで紹介するコースは、茶臼小屋で宿泊する1泊2日コース。距離が長く急登も多いため、中級者以上の体力に自信のある人向けとなっています。

本格的な登山は茶臼岳登山口からとなります。しかし、マイカーはここまで入れないため、沼平ゲートの沼平駐車場か畑薙第一ダム駐車場に停めましょう。トイレは畑薙第一ダム駐車場にのみあります。なお、登山届のポストは3か所ともにあります。

茶臼岳登山口を出発したらまず目に飛び込んでくるのが、畑薙大吊橋という揺れそうな大きな吊り橋。とても高度感があり、下を覗くことができるのでかなりスリリング!吊り橋はこの後も5か所ほど出てきます。

早速の急な登りがお出迎え。ツガやブナ、ミズナラなどの樹林帯の中を登っていきます。途中傾斜が緩くなり、トラバースや細かいアップダウンがヤレヤレ峠まで続きます。

40分ほどすると面白い名前の峠、ヤレヤレ峠に到着です。序盤のいきなりのハードな登りから一息。やれやれ…ですね。ベンチもあり、休憩できますよ。この先は一旦上河内沢への斜面を下り、沢沿いをいくつか吊り橋を渡りつつ進んでいきます。

いくつかの吊り橋を渡りつつ緩やかな登りの沢沿いを進んでいくと、やがて上河内沢とウソッコ沢の合流地点にあるウソッコ沢小屋に到着です。この小屋は無人の避難小屋で、30人ほど収容可能。トイレや水場もあります。

ウソッコ沢小屋からは急なつづら折りが続き、2時間弱かけ、中の段を経て横窪峠へ。60人ほど収容可能な横窪沢小屋があります。トイレ、水場も近くにありますよ。

横窪沢小屋を越え茶臼小屋までは、さらに3時間弱かけて水平2kmを800m登るという急な登りが続きます。横窪沢小屋から1時間ほどで展望ベンチが登場。ここからは大無間山がよく見えます。

標高2,415m地点には、茶臼岳、光岳、聖岳などへの登山の拠点となっている茶臼小屋があります。60人ほど収容可能でトイレや水場、テント場もあり。こちらで1泊となります。体力あれば1日目に往復してしまって2日目に下山するのもあり。

2日目

茶臼小屋(15分)→稜線(105分)→上河内岳の肩(10分)→上河内岳(95分)→茶臼小屋(265分)→茶臼岳登山口

茶臼小屋からひと登りすれば稜線へと出ます。左(南)に進むと、茶臼岳や光岳方面へ。今回は右手側(北)へ進路を取り、上河内岳を目指します。

進路方向には上河内岳や聖岳の姿が望めますよ!上河内岳頂上へは稜線上右手にある「上河内岳の肩」という分岐を登って頂上へと向かいます。

上河内岳の肩へ向かう道中、平らに広がった、氷河の名残のある地形の亀甲状土草原を通ります。前方にドーンとそびえる上河内岳を望みながら進んでいくこととなり、これから向かう山頂への期待感を高めてくれます。

上河内岳の肩から登ること10分、ついに山頂に到着です!山頂は360度の大パノラマ。聖岳や赤石岳をはじめ、茶臼岳、光岳、さらには恵那山・空木岳・木曽駒などの中央アルプスの山々、富士山まで名峰が目白押し!

1日目に上河内岳を登った人は、帰りは茶臼小屋に1泊して来た道を戻ります。余裕のある人は、茶臼小屋から茶臼岳に行ってみるのもおすすめですよ!

上河内岳周辺の山小屋情報

ここでは、上河内岳登山に欠かせない山小屋情報を紹介します。どの山小屋にもテント場・水場・トイレがあり、利便性◎。日程や予算から最適な宿泊ポイントを選んでください。

ウソッコ沢小屋

30人ほど収容できる木造平屋の無人小屋。仕切りは無く、中央が端から端まで土間となっており、土間の両側は板張りの床、沢から引いた水場やトイレ(屋外)もあります。

住所:茶臼岳登山口より約2時間、ウソッコ沢と上河内沢の合流地点付近/静岡県静岡市葵区田代
営業期間:無人避難小屋
標高:1,170m
収容人数:30人
料金:無料

横窪沢小屋

木造2階建てで60人収容できる小屋です。樹林帯の中なので眺望は無いものの、水量豊富な水場や綺麗な水洗トイレがあり、疲れた登山者へのお茶提供サービスが嬉しいポイント。管理人さんが一人で切り盛りしていて、居心地の良さや利便性にも定評があります。なお、営業期間外は避難小屋として一部開放されています。

住所:茶臼岳登山口より3時間40分、横窪峠の先/静岡県静岡市葵区田代
電話:080-1560-6309(井川観光協会/携帯)
営業期間:7月中旬~8月※要予約
標高:1,610m
収容人数:60人

料金:

  • 1泊2食付き: 8,500円
  • 1泊素泊まり: 5,500円
  • テント(60張): 700円

※寝具持参時は1,000円引き

茶臼小屋

樹林帯を抜けた稜線近くに位置し、富士山も望める展望の良さが◎。雷鳥の姿も見られるかも?!光岳登山の拠点として宿泊する連泊客が多く、シーズン時の混雑に注意が必要です。テント場も混雑するため、16時前の到着が吉。夕食で提供される刺身も定評があります。

住所:茶臼岳登山口より6時間25分、稜線まで15分の地点/静岡市葵区 田代
電話:080-1560-6309(井川観光協会/携帯)
営業期間:7月中旬~9月下旬※5人以上要予約
標高:2,415m
収容人数:60人

料金:

  • 1泊2食付き: 8,500円
  • 1泊素泊まり: 5,500円
  • テント(45張): 700円

登山口までのアクセス

マイカー規制により茶臼岳登山口(畑薙大吊橋)までは車で入ることができません。マイカーの場合は沼平駐車場か畑薙第一ダム駐車場に駐車してください。夏季には臨時駐車場も開放されます。また、各駐車場や駅から季節運行のバスが登山口や登山口周辺まで運行しています。

茶臼岳登山口へのアクセス

車の場合
東名高速・静岡IC→畑薙第一ダム→東俣林道→沼平駐車場

<駐車場情報>
■沼平駐車場
料金:無料
駐車台数:約30台

※登山口まで徒歩で40分。

■畑薙第一ダム駐車場
料金:無料
駐車台数:-

※駐車場から登山口まで、条件付きで井川村が運行する送迎バスを利用可能。

■畑薙第一ダム夏季臨時駐車場
料金:無料
駐車台数:約150~200台

※駐車場から登山口まで、条件付きで井川村が運行する送迎バスを利用可能。

<井川観光協会送迎バスについて>
※井川村が運行する送迎バスを利用するには、茶臼小屋、横窪沢小屋、白樺荘、その他井川村指定の旅館・民宿のどれかに宿泊することが条件となっています。テント泊は含まれません。また、送迎バスの利用は3日前までの予約が必要です。
問合せ:080-1560-6309

井川観光協会送迎バスの時刻表
※南アルプス登山観光情報(PDF)22ページ

電車・高速バスの場合
■電車
JR静岡駅から、しづてつジャストラインバスで「畑薙第一ダム」まで
※夏季のみ運行。時刻表などは必ず静鉄バスのサイトでご確認のうえお出かけください。

しずてつジャストライン

■高速バス
まいにちアルペン号 竹橋発→沼平 (夏季のみ運行)

まいにちあるぺん号

隠れた名山「上河内岳」から南アを見渡す絶景を楽しもう!

南アルプス南部の絶妙な位置にそびえる上河内岳だからこその、南アルプスの山々を一望する素晴らしい景色が堪能できます。登山道は急登も多くハードですが、要所にトイレや水場完備の山小屋もあり、日程を柔軟に組みやすくなっているので、中級者以上の方は是非この隠れた名山にトライしてみてください!

【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。

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