原爆症認定訴訟 国側は争う姿勢 長崎地裁、第1回弁論

 長崎原爆で被爆し、下咽頭がんと肺がんを患ったのに原爆症認定申請を却下されたのは違法として、長崎市の男性(77)が国に却下処分取り消しを求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)であった。国側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
 訴状によると、男性は3歳の時に爆心地から約4キロの同市稲田町の自宅で被爆。2008年に舌がんでの原爆症認定を申請したが却下されたため、却下処分取り消しを求めて同地裁で係争中。男性は、新たに17年に下咽頭がん、18年に肺がんで、それぞれ原爆症認定を申請したが、いずれも却下処分を受けた。
 国は被爆者が悪性腫瘍を患った場合、爆心地から約3・5キロ以内で被爆し医療を必要とする状態と確認されれば、原爆症と積極認定している。男性は基準を満たしていないが、「多重がん」となっている現状を踏まえ「健康に影響を及ぼす程度の放射線に被ばくした」と訴えている。

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