カネミ油症事件の被害者団体、国、原因企業カネミ倉庫(北九州市)が救済策について意見を交わす第13回3者協議が19日、福岡市内であった。典型的な症状による油症認定など坂口力・元厚生労働相が昨年示した新たな救済案について、国は実現に消極的な姿勢を示した。被害者側は落胆する一方、国会議員らの今後の動きに期待を寄せる声も聞かれた。
坂口氏は、昨年11月に五島市であった油症発覚50年の式典で▽ダイオキシン類の血中濃度ではなく症状の有無による認定▽治療研究費の拡大▽被害者支援金の増額▽被害者を内部障害者と位置付け支援-の4点を提案していた。
3者協議は非公開。会見した被害者らによると、厚労省側は「認定には科学的な因果関係が必要で、症状だけでは難しい」と従来通りの回答。研究費についても「前年同額を守るのに精いっぱい」などと述べた。東京都の被害者、鈴木文史朗さん(56)は取材に「国の回答は残念だが、心ある現職国会議員らが坂口さんの提案に共感し実現へ動いてほしい」と願いを語った。
被害者の全国13団体による「カネミ油症被害者連絡会」の設立も正式発表。大阪府の曽我部和弘さん(54)は「各団体が高齢化し活動が弱っていく中、一つの団体として訴えることは3者協議だけでなくさまざまな場面で必要」と意義を強調した。
