北海道唯一の山脈【日高山脈】登山者に人気の山、TOP7を紹介! 北海道の中央南部、唯一の山脈が日高山脈。最高峰の幌尻岳をはじめ、登山者も憧れる難易度の高い山も多く集まっています。登山道までのアクセスが困難な山も多いため、さらに登山難易度が上がる山も多い日高山脈。しかし、山頂からの大展望や稜線、さらに山容の美しさなど、挑戦したくなる魅力的な山が多数!登山上級者を魅力してやまない人気の山を紹介します。今回は実際に登っている登山者が多い人気TOP7をお届け!

南北に約150km連なる【日高山脈】

  • 所在地: 北海道
  • 最高峰: 幌尻岳(2,052m)
  • 延長: 150km

参考:Wikipedia
日高山脈は北海道中央南部にある、「北海道の背骨」と呼ばれる大山脈。狩勝峠から襟裳岬まで続く約150kmの山並みは、ナイフリッジが多く見られる稜線、さらに氷河地形のカールが広がる険峻な地形をしているのが特徴です。未整備の登山道も多く残る広大な山脈は、北日高、中日高、南日高の3つのエリアに大別され、最高峰は北日高エリアに属する標高2,052mの幌尻岳。
日高山脈襟裳国定公園にも指定されているこの山域は、日本最大の国定公園であり、特にアポイ岳は低山ながらヒダカソウなど珍しい高山植物が見られることで有名です。

衝突によって作られた日高山脈の特徴とは?

山ができる原因は、大きく分けて2種類。一つ目は噴火、二つ目は地中深くに埋まっている巨大な岩板(プレート)が衝突した場合です。日高山脈は衝突によって作られた山で、ユーラシアプレートに北米プレートが乗り上げるようにして誕生しました。そして同時に、これまで地球の奥底にあった地層が姿を現したのです。
日高山脈は、浅い地層から深い地層までがきれいに順序よく並んでいるのが特徴で、これは世界的に見ても貴重な光景とされています。

また日高山脈は登山口までのアクセスが困難で、登山難易度が高い山も多い山脈。そんな日高山脈の中で、登山者に人気の山はどこなのでしょう。 今回は、山のコミュニティサイト《ヤマレコ》でより多く投稿されている、登山者に人気の山ランキングを紹介します!(※2018/11/27現在)

7位【難易度:★★★★☆】ペテガリ岳

ペテガリ岳は中日高に位置し、日本二百名山にも数えられている山。 山名はアイヌ語で「回遊する川」を意味する、ペテガリ川の源流にあることが由来とされています。 「遥かなる山」とも称されるこの山は、片道約12時間と歩行距離が長く泊まり必須。さらに急登や藪こぎなど、数々の難所を越えて山頂を目指す、上級者向けの山といえます。

メインである西尾根コースは、増水時は通行不可となる渡渉箇所、藪こぎなども存在する登山道。深い笹で覆われた道は不明瞭な場所もあり、尾根上はアップダウンも激しくかなりの体力を使います。かなりの健脚者であれば1泊2日も不可能ではありませんが、2泊3日のプランで行くのがおすすめ!
山頂からの展望は素晴らしく、ルベツネ山や神威岳、ポンヤオロマップ岳などの絶景を見ていると疲労も吹き飛びます。

■標高:1736.2m
■住所:北海道日高郡新ひだか町・ 広尾郡大樹町市
■車でのアクセス情報:国道235号→道道348号線→元浦川林道

ペテガリ岳|”遥かなる山”への挑戦!片道約12時間の上級者向けコース
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6位【難易度:★★★★★】カムイエクウチカウシ山

中日高に位置するカムイエクウチカウシ山は、日本二百名山の一つ。通称「カムエク」とも呼ばれているこの山名は、アイヌ語で「クマが転げ落ちるほど急な山」を意味し、日高山脈第二の高峰でもあります。
十勝側には八ノ沢カール、日高側にはコイボクカール、さらにカール下流には氷河によってつくられた土手のような地形”モレーン”など、様々な地形を見ることができます。

カムイエクウチカウシ山は整備された登山道がないため、かなりハード。膝下まで浸かる渡渉や不明瞭な巻き道もある上級者向けコースです。夏場でも雪渓が残りますが、ミヤマリンドウやヨツバシオガマなどの色鮮やかな花々には心癒されます。
山頂は遠方に幌尻岳が望め、濃い緑の稜線がどこまでも続くパノラマが魅力的。ただし、過去にヒグマに襲われる悲しい事件も起こった山なので、必ずクマ対策をしてから登りましょう。

■標高:1,979.2 m
■住所:北海道日高郡新ひだか町・ 河西郡中札内村
■車でのアクセス情報:札幌→国道274号→帯広→道道静内中札内線→登山口

5位【難易度:★★★☆☆】伏美岳

伏美岳は、日高山脈北部に位置する標高1,792mの山。奥深い山のため、登山道までのアクセスは少し困難。しかし、山頂からは幌尻岳や戸蔦別岳など、北日高の山々を一望できるまるで展望台!

伏美岳は登山道に案内看板が設置されているため、日高山脈の山々の中でも比較的登山道はわかりやすいでしょう。ただ笹やダケカンバなどの草木が生い茂っている個所もあるため、注意は必要です。スタート直後の水場を通過して以降は、草木が密集した景観が続きます。9合目を過ぎると視界が開け、目の前には見事な雲海が広がることも。遮るものが何もない山頂は、幌尻岳をはじめ、カムイエクウチカウシ山や戸蔦別岳など、日高山脈の山々を一望できるのが魅力です。体力に余裕のある人は、ピパイロ岳への縦走もおすすめ。

■標高:1,792m
■住所:北海道帯広市
■車でのアクセス情報:道東自動車道 十勝清水→トムラウシ林道入口

4位【難易度:★★★☆☆】剣山

山頂から突き出た剣が特徴的なこの山。日高山脈の北側、十勝平野へと続く尾根の端に位置する剣山(つるぎやま)です。アイヌ語では「エエンチエンヌプリ」と呼ばれており、「とがった山」という意味。シンボル的なこの剣は、かつてこの地が信仰の山であったことを物語っています。剣山神社や石仏が残り歴史情緒豊かな山は、北日高や十勝平野も望める360度の展望が魅力です。

剣山神社から山頂までは約2時間半。日帰りも十分可能な登山コースです。コース中には「一の森」「二の森」「三の森」と3つの森が。登山中の目印にはなりますが、最初の「一の森」までは1時間ほど。その後、山頂まではロープ場や急登、山頂直下には全部で4本のはしごなど、アスレチック間ある登山道が続きます。
剣が突き刺さった山頂は、古い歴史を感じる勇ましい雰囲気。山頂からは北日高の山々の稜線や、伏美岳・ピパイロ岳も一望できるなど気持ちのいい空間が広がります。山頂はかなり狭いので、足元には注意してください。

■標高:1,205m
■住所:北海道上川郡清水町旭山

3位【難易度:★★☆☆☆】アポイ岳(吉田岳)

(アポイ岳)

アポイ岳は、地球の奥深くにある地層「かんらん岩」によって形成された山。標高が低いにもかかわらず、約80種の高山植物が生息する地域は、ユネスコ世界ジオパークにも認定されています。固有種のヒダカソウやアポイマイマイなどは、ここでしか見ることのできない代表的な動植物です。日高山脈の中でも比較的アクセスが良く、初心者でもチャレンジやすい山として人気があります。

(アポイ岳と登山道)

ビジターセンター出発後は、しばらく森の中の整備された道を歩いていくことに。五合目小屋から馬の背までは急登となりますが、ミヤマオダマキやキジムシロなど、可憐な高山植物を眺めながら登山できるのは「花の山・アポイ岳」の魅力といえます。山頂こそあまり展望はありませんが、馬の背から望む日高山脈や太平洋の清々しい風景、色とりどりのお花畑は必見です!余裕のある人は吉田岳との縦走もおすすめ。

■標高:810.2m
■住所:北海道様似郡様似町
■車でのアクセス情報:日高道 日高厚賀IC→国道336号→様似

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2位【難易度:★★★☆☆】戸蔦別岳・北戸蔦別岳

(北戸蔦別岳からの戸蔦別岳)

日高山脈の一角を成す戸蔦別岳・北戸蔦別岳は、北日高に属する山。北戸蔦別岳は戸蔦別岳よりも、やや北に位置しています。戸蔦別岳は、七ツ沼カールや北カールを抱く鋭峰で、日高山脈の最高峰・幌尻岳と対峙してそびえているのが特徴。戸蔦別岳、北戸蔦別岳、幌尻岳は尾根続きとなっているので、縦走で楽しむ人も多い中上級者向けの山です。

(戸蔦別岳への稜線)

幌尻山荘から戸蔦別岳を目指すルートは、北西尾根から幌尻岳を経由するコースと北戸蔦別岳との中間を行くコースの2種類。幌尻山荘に宿泊して、幌尻岳と一緒に登るコースは上級者向けです。北戸蔦別岳との稜線上からは札内岳や北カールが望め、戸蔦別岳山頂は、七ツ沼カールが間近に見え、カムエク、ナメワッカ岳など日高山脈の山々が見渡せる絶景スポットです。

■戸蔦別岳
標高:1,959m
住所:北海道帯広市

■北戸蔦別岳
標高:1,912m
住所:北海道沙流郡日高町千栄

1位【難易度:★★★★☆】幌尻岳

(幌尻岳山頂)

日高山脈の最高峰、かつ日本百名山の一座でもある幌尻岳。アイヌの人々からは「ポロ・シリ(大きな・山)」と呼ばれ、神のような霊的存在として崇められてきました。豊かな自然を有した山域は、多彩な高山植物やナキウサギなどの貴重な動物が見られることでも有名。特に、氷河で浸食された谷に雨水が溜まってできた「七つ沼カール」は必見です。頂上まで難所が続くことから、百名山の中でも最難関の山といわれています。

額平川コースは、10回以上の渡渉を必要とする上級者向きのコース。しっかりとした渡渉準備が不可欠です。渡渉ポイントを過ぎたあとも、岩場やかなりの急登が続くハードな登山道が待っています。そんなハードな登山道を登りきると戸蔦別岳やカールが一望できる稜線に!戸蔦別岳から北戸蔦別岳へと続く尾根道、自分の歩いてきた稜線まで見渡せる、山頂の広大な景色には感動!

■標高:2,052m
■住所:北海道日高振興局沙流郡平取町・新冠郡新冠町
■車でのアクセス情報:札幌北ICー道央自動車道 苫小牧東ICー日高自動車道 日高富川ーとよぬか山荘

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日高山脈の山に登る際の注意点

日高山脈の大部分は国有林となっているので、登山の際は注意が必要です。また、ヒグマやマダニ、キタキツネなどへの対策も忘れないようにして、入山前には最新情報を確認するようにしましょう。

①ほとんどが国有林(道有林)。事前に必ず確認を!

日高山脈は、大部分のエリアが国有林または道有林となっています。登山する山域によっては、入山前に森林管理署に許可・申請を願い出る必要があるため、必ず事前に確認するようにしましょう。日高地方は北部と南部で管轄が異なるので注意してください。
また、登山口へ続く林道や登山道などで崩落している山も多数あります。あわせて確認をお願いします。

森林管理署はコチラ

②ヒグマ・マダニ・キツネに注意!

北海道登山では動物にも注意が必要。特に警戒したいのが、ヒグマ・マダニ・キタキツネです。
【ヒグマ】
ヒグマとの遭遇を避けるには、手を叩いたり、会話したりして音を立てるのが有効です。特に早朝や夕方はヒグマの動きが活発になるため、細心の注意を払うようにしましょう。
【マダニ】
マダニは、藪こぎや木の下を通過したときに、いつの間にかくっついていることがあるもの。食いつかれないためにも、長そで・長ズボンの着用、下山後は着替えるなどの対策が必要です。登山後は念のため、肌や衣類を確認するようにしてください。
【キタキツネ】
キタキツネは、エキノコックスという寄生虫持っています。直接キツネに触らなくても、生水などから感染することがあるため、沢水や山菜などは、必ず火を通してから口にするようにしましょう。
注意したい動物をチェック!

自分のレベルに合った山を選んで、人気の山に出かけよう!

日高山脈は、最高峰である幌尻岳やカムイエクウチカウシ山など、難峰と呼ばれる山が連なる大山脈。過酷な登山道が多いのも事実ですが、山頂からの大パノラマや稜線、多彩な高山植物や固有種が生息するなど、熟練の登山者を熱くさせる魅力的な山々が揃っています。ぜひ、ご紹介した人気の山を参考に、登りたい山を見つけてみてくださいね!

【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。) ・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。

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