音楽がつなぐ「居場所」を 起業し共有アプリ開発 長崎国際大4年 杉山裕磨さん

 長崎国際大4年の杉山裕磨さん(23)は昨年8月に会社を設立し、音楽配信サービスと連携し、楽曲やアーティストの情報を共有できる専用アプリ「PROPS」(プロップス)を開発している。近く本格的に事業を始める。大学生らを対象にしたビジネスプランコンテストでは、県内と九州の大会でグランプリを獲得。2月に全国大会も控える。「評価してもらい、うれしい。事業を前に進めたい」と意気込む。
 アプリは、利用者が音楽情報を持ち寄り、知りたい人、発信したい人の「居場所」をつくる狙い。音楽の楽しみ方が広がり、これまで聴いたことがないジャンルの楽曲に出合える。
 当面は広告収入を想定。将来は音楽業界の関係者とつながり、関連商品とタイアップするなどして、新たなビジネスモデルの確立を目指す。
 CDは売れなくなり、音楽業界は下火とも言える状況だが、配信サービスの普及で触れることができる楽曲数は増えた。杉山さんはこれを「チャンス」とみる。その上で「受け手の気持ちの方がプロモーションになる。具現化されていない情報を掘り起こしたい」と語る。
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 これまで何度も音楽に助けられてきた。思い悩んだり、つらいことがあったりしたとき、好きな音楽に支えられた。「多くの人が、音楽を通してつながれる何かをつくりたかった」と明かす。
 熊本県出身。英語ができれば、社会に出たとき何とかなると考え、習得に励んだ。ただ、語学が堪能でも「専門性に乏しく、中身がない」と就職が不安になった。
 3年の終わりに1年間休学したことが転機になった。プログラミングを学び、アプリ開発の技術を身に付けた。起業するという選択も生まれた。エンジニアやデザイナーの仲間もでき、復学直後には「今やらないと、時代に遅れる」と決意した。
 「音楽は耳で聴くけれど、届くのは心」と強調する。社名の「uni-Marble」には、ロックやヒップホップ、アイドルなどさまざまなジャンル、文化を否定せず「マーブル模様の世界をつくる」という思いを込めた。「事業はやってみないと分からない。リスクはあるけれど、サービスを磨き上げたい」と力を込めた。

アプリ開発で「音楽情報を知りたい人、発信したい人の『居場所』をつくりたい」と語る杉山さん=佐世保市ハウステンボス町、長崎国際大

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