【女子プロ野球】引退の川端友紀は最大の“ライバル”にして最高の友人―三浦伊織が思いを語る

涙ぐむ三浦伊織(左)に声をかける川端友紀【写真提供:日本女子プロ野球リーグ】

川端も引退会見で思いを吐露「三浦選手の存在が大きくて、一番の原動力でやってこられた」

 20日にさいたま市内で引退会見を行った埼玉アストライアの川端友紀内野手。ヤクルトでプレーする川端慎吾内野手を兄に持ち、人気、実力ともに女子野球界トップクラスのスター選手は、女子プロ野球創設から9シーズンに渡ってリーグを牽引してきた。

 2013年に自己最高の打率.431を記録し、角谷賞(MVP)を獲得。自身3度の首位打者に輝き、1度の最多打点、2度の最高出塁率もマークした。リーグ通算380試合出場で、歴代2位の432安打、2本塁打、192打点、98盗塁、通算打率.373。野球日本代表「侍ジャパン」女子代表にも2012年から選出され、4大会連続で女子野球ワールドカップに出場。昨年、米国で行われた第8回大会でも主軸として活躍し、日本代表の6連覇に大きく貢献した。

 そんな川端が引退会見で、9年間に渡ってトップを走り続けることができた「原動力」として挙げたのが、ライバルの存在。昨季、リーグトップの打率.446をマークし、3度目の首位打者と角谷賞にも輝いた京都フローラの三浦伊織外野手に“敬意”を示した。ワールドカップではともに日の丸を背負い、日本のために戦った。

「一番は本当に負けず嫌いなので、ライバルの存在が一番大きかった。1期生の三浦伊織選手と初めは同じチームでプレーしていて、9年間ずっと首位打者を意識して切磋琢磨してやってこられて。三浦選手の存在が大きくて、一番の原動力でやってこられたと思います」

 川端はこう語ったが、20日の引退会見後のTHANKS PARTYに駆けつけ、涙で“ライバル”を惜別した三浦も同じような思いを抱いていた。同じリーグ創設メンバーの一人として、川端への思いを語り尽くしている。

三浦が語り尽くす川端への思い「友紀さんみたいな選手になることが私の目標」

――川端友紀選手との思い出の試合はありますか?

「対決とかではないのですが、4年前くらいにわかさスタジアム京都の試合で、私が三遊間にヒット性の打球を打った時にダイビングキャッチを友紀さんにされたんです! ヒット1本損して悔しがっていたんですけど、その裏のアストライアの攻撃で友紀さんに打席が回ってきたので、その場面はいつもより集中して守備をしていました。そしたら私の前に打球が飛んできたんです! 捕りたい一心で打球を追いかけていたのでギリギリで捕ることができた時は珍しくガッツポーズして喜んでしまいました(笑)。ベンチに戻った時に当時の新原監督に『どんだけ仲良しなの』ってツッコまれたときは、なんか周りにそう思われててすごく嬉しかったですね」

――他にも思い出はありますか?

「京都アストドリームスの3年間です。2年連続で川端選手が首位打者のタイトルを受賞しました。チームとしても優勝できなかったので、とても厳しい冬のトレーニングをしました。その時に友紀さんにランニングで勝つことが首位打者を獲得できる最大の近道だと思っていたので、とにかくランニングで友紀さんに勝つんだと思って走っていましたね(笑)。負けず嫌いを全面に出していた私とは対照的に友紀さんは相手にしてないよって感じで淡々と練習していました。それがより一層私の心を燃やしてくれて、ライバルになるんだと思って辛い練習にも耐えられていたんだなと思います。3年間、友紀さんの近くでプレーできたことで、今の私を作り上げることができたんだなって思っています。本当に川端選手には感謝しかないですね」

――川端友紀選手から学んだことはありますか?

「私は入団して3年目で念願の首位打者のタイトルを受賞することができました。その時のコンベンション終わりに友紀さんに『おめでとう』って言われた時はびっくりしました。悔しいはずなのに相手を称えることができることが10代の私からしたら本当に凄いと思いました。友紀さんの偉大さを目の当たりにして、私もそのような人間に成長したいと思いました」

――最後に川端選手に一言お願いいたします。

「9年間先頭に立ってリーグを引っ張ってくれてありがとうございました。友紀さんと1期生として入団できたこと、同じチームでプレーできたこと、3番、4番として打順に並べたこと、首位打者争いをできたこと、本当に私にとっては全てが宝物であり誇りです。誰からも信頼され、そして結果に応える姿は本当に偉大でした。友紀さんみたいな選手になることが私の目標であり、これからも友紀さんをライバルとして頑張りたいと思います。9年間ありがとうございました」

 川端がユニホームを脱いでも、友人、そして敬意を抱く“ライバル”としての関係は続いていく。(Full-Count編集部)

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