児童養護退所者に奨学金を支給 相模原市、19年度から

 相模原市は、市内の児童養護施設や里親宅などを離れて進学する若者に対し、給付型奨学金を2019年度から支給する。経済的な事情から進学が難しい施設退所者らを支援することが主な目的で、退所後の就労支援も実施する。また市内の施設や里親宅などで暮らす子どもへの学習塾代なども補助する方針。

 19年度当初予算案に約3千万円を計上し、市議会3月定例会議に提案する。こうした取り組みは川崎市に続いて県内2市目。

 児童養護施設は児童福祉法に基づいて設置され、親の死亡や経済的な事情、虐待などの理由により、家庭で暮らすのが困難な子どもたちが生活する。原則として高校卒業後の18歳で退所しなければならないが、退所後に社会的に孤立し、経済的に困窮するといった課題が指摘されている。

 市が用意する大学や短大、専修学校などへの進学に伴う奨学金は、返済不要の給付型。大学進学の場合は、国の給付型奨学金(国公立大月額3万円、私立大月額4万円)に上乗せする形で、22歳になる年度まで国公立大で月額3万円、私立大で同4万円を給付する。短大、専修学校などの場合も同程度を支給する。

 また、児童養護施設や里親宅などで暮らす高校2年生を対象に、学習塾代として上限21万円、同3年生には学習塾代と受験費用として上限65万円を、国と市がこれまで支給していた年額計27・7万円に上乗せして補助する。

 このほか、国が費用の半額を負担する国庫補助事業として、施設退所者らの自立に向けた支援計画の作成や生活相談、就労相談を実施。養育期間が終わる18歳以降も児童養護施設や里親宅に住む場合は居住費、生活費を補助する。

 市によると、市内の児童養護施設入所者と里親に委託されている子どもは昨年12月1日時点で261人おり、19年3月に高校を卒業する3年生は17人。親の経済的な支援がなく、退所後に備えて長時間のアルバイトをしている子どもが多いという。

 厚生労働省の16年の全国調査によると、児童養護施設出身者の大学・専修学校などへの進学率は27%で、高卒者全体の74%を大きく下回っている。

相模原市役所

© 株式会社神奈川新聞社