「暑くて寝苦しい」、解消には「湿度」も重要 ―ユーザー版2018年夏季号から

 夏の夜、エアコンを使っていても「暑さで寝苦しい」と感じる人が6割超――。

 空調機器メーカーのダイキン工業が実施した「『夏の寝室でのエアコンの使い方』に関する意識調査2017」の結果。55%の夫婦が温度設定で揉めた経験もあるなど、「よりよいエアコンの使い方ができていない可能性もある」(同社)とした。その上で、奈良女子大学の久保博子教授は「快適と感じる温度は個人差が大きく、温度だけでなく湿度も重要」と助言する。

6割超が「快眠できず」

 夏場の睡眠に関して、エアコンを使用しても『暑くてなかなか寝付けないことがある』との問に対し「ある」が17・1%、「時々ある」45・9%。また、『暑くて夜中に起きてしまうことがある』ことも「ある」14・2%、「時々ある」47・0%と合わせ、それぞれ6割を超える人が経験していた。

 夏の夜の寝室では、寝付けない人や途中で起きてしまう人が多数存在し、快眠できていない実態が明らかになった。

 夏場に寝る時に、どのようにエアコンを使っているかを聞いたところ、「一晩中つけっぱなし派」23・5%、「タイマー(入り/切り)派」53・1%で、夏の寝室ではタイマー派が主流だった。

 両派とも寝苦しさを経験してはいるが、特にタイマー派の方が高い結果となっている。

湿度50%以下がポイント

 久保教授は「梅雨時から夏場にかけて湿度は非常に高くなり、室内でも時には80%くらいになることもあります。こうなると汗がなかなか乾かず不快感とともに体温調節もうまくいかず、寝付きが悪くなることにつながります。湿度を50%程度より低くするのがよいでしょう」と指摘する。

 快眠のために、行っている対策について「温度での対策」が36・9%なのに対し「湿度での対策」が20・3%。設定温度の上げ下げによる温度調節のみで対策を試みている人が多い。その設定温度について、もっと多かったのが28℃(37・3%)。次いで26℃(19・8%)、27℃(18・9%)だった。

 暑くて寝付けない人が6割以上いる中で、意外にも温度は高めの設定という実態がわかった。これは、冷房で寒くなるのが苦手な人や低い設定温度で体調不良や身体のだるさを経験した人が、設定温度を高くすることによって、対策をとろうとしている結果としている。

主導権握るのは「パートナー」

 一方で、夫婦間でのエアコンの使い方についても聞いた。夏の睡眠時におけるエアコンの運転について、「夫婦のどちらが主導権を持っているか」の問に対して、全体の61・0%が「パートナー(夫・妻)にある」と答えた。

 エアコンの設定で主導権を持つ人に、エアコンの設定の際に温度設定などでパートナーの好みを考慮しているか、を聞いたところ、全体で81・2%が「考慮している」と答えた。

 これについて、同社では「自身が快適に眠りたいという気持ちだけでなく、夫婦ともに快適な睡眠を取りたいという気持ちの表れ」としている。

夫婦げんかの原因に?

 夫婦間で、エアコンの設定で揉めたり喧嘩をしたことがあるか、との問には「よくある」5・0%、「時々ある」18・3%、「たまにある」31・7%。3つの回答の合計で55%が「ある」との回答が占めた。揉めた理由では「温度設定」が多数を占めたほか、「エアコンをつけっぱなしにする」や「タイマーの設定時間」などの回答がみられた。

 自由回答では「私に合わせた温度設定だと暑すぎて夫は眠れないと文句を言うが、夫の設定温度だと寒すぎて私が眠れず、身体がだるくなってしまう」(女性)や「暑さに対する感度が違うので小競り合いになる」(男性)、「タイマーの使用時間の長さ」(女性)など。パートナーをを気遣い温度設定をしているにも関わらず、多くの夫婦が温度設定で揉めていることがわかった。

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