WRC:王座防衛に挑むトヨタ、2019年初戦モンテカルロ首位発進。タナク「自信をもって走れた」

 2018年にWRC世界ラリー選手権のマニュファクチャラーズタイトルを獲得したTOYOTA GAZOO Racing WRT。タイトル防衛とドライバーズタイトル、コドライバーズタイトル獲得に挑む2019年シーズン初戦の第1戦モンテカルロ初日で総合首位につけた。

 2019年、トヨタ陣営はチームを離れた若手エサペッカ・ラッピに代わって、WRC優勝経験もあるベテランのクリス・ミークを起用。オット・タナク、ヤリ-マティ・ラトバラの3名にトヨタ・ヤリスWRCを託す。

 シーズン開幕戦のラリー・モンテカルロは、WRCのなかでも長い歴史を誇る1戦。ドライやウエット、スノー、アイスなど、さまざま路面状況が待ち受けるため、難易度が高い1戦だ。

 競技初日となる24日(木)は、現地10時から3.35kmのターマック(舗装路)でシェイクダウンが行われ、ここで各チームがセットアップなどの最終チェックを行った。ここでは新加入のミークが最速、タナクが4番手、ラトバラが5番手につけ、トヨタ陣営の3人が好調な走り出しをみせる。

 そして日が暮れた現地19時38分、雪やアイスバーンが広がる峠道でSS1が行われ、このナイトステージではタナクがトップタイムを刻んで総合首位につけた。

 そのタナクは続くSS2でステージ3位につけて、総合首位の座をキープ。9.1秒のリードをもって25日(金)の競技2日目に臨む。

 シェイクダウントップだったミークは、SS1でタナクに続くステージ2位を獲得したが、SS2でパンクに見舞われてしまいポジションを落とすことに。タナクと53.8秒差の総合7番手で走行を終えた。

 残るラトバラはSS1でステージ8位と出遅れたものの、続くSS2で挽回し総合5番手。タナクとは46.4秒差につけている。

■SS2でパンクのミーク「自分では何にも当たった感覚はない」

シェイクダウンステージを走るヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)
2019年も3台体制でWRCに参戦するトヨタ・ヤリスWRC

 チーム代表のトミ・マキネンは「今晩最初のSS1は、ベストタイムのオット(タナク)と2番手タイムのクリス(ミーク)にとってすばらしいステージになった」とシーズン開幕戦初日を総括する。

「オットは自信を深めたはずだし、クリスは残念ながらSS2でパンクしたが、それでも新しいクルマに良い感触をもったのではないかと思う」

「暗闇のなかでの走行は非常に難しく、ヤリ-マティ(ラトバラ)はやや慎重な走りだった」

「まだ先は長く明日はきっとタフな1日となるだろうが、今日とは違い、日中の明るい時間帯ははるかに走りやすいと思うよ」

 総合首位で走行を終えたタナクは「最初のステージは非常にトリッキーで、路面コンディションが大きく変わるような所もいくつかあった」と述べている。

「しかし、クルマはとても良いフィーリングだった。タイヤのグリップ変化を把握しやすく、そのため自信をもって走ることができたよ」

「明日は長い1日となり、我々にとってはいつものモンテカルロと同様、大きな挑戦となるだろう」

 トヨタでの実戦デビューを飾ったミークは「自分では何にも当たった感覚はないのにパンクしてしまったが、戦いはまだ始まったばかりだし勝負はこれから」とコメント。

 ラトバラは「今晩のステージは暗闇のなかで凍結路面と湿った路面が所々に現れるという、非常に挑戦し甲斐のあるコンディションだった。そのような困難な路面ではタイム差が広がりやすく、走りに自信をもてなかったためSS1でかなりタイムを失ってしまった」と走行をふり返った。

 競技2日目となる25日(金)はサービスパークの置かれるフランス・ギャップの南西エリアで3本のSSを2回走行し、計6SSで争われる1日。合計の走行距離は125.12kmと今大会でもっとも長い1日となる。リエゾン(移動区間)を合わせた総走行距離は457.06kmだ。

ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)
クリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)
クリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)はSS2でパンクに見舞われる不運

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