“男子禁制”の宴にぎやかに 五島「女正月」 仮装、ごちそうで骨休め

 “男子禁制”の宴会が繰り広げられる伝統行事「女正月」が24日夜、長崎県五島市玉之浦町大宝であった。仲間の女性だけでごちそうや酒を楽しみ、酔いが回ると思い思いの仮装をしてにぎやかに踊った。
 大宝地区の子育て地蔵を供養する行事で、地元では「地蔵講」とも呼ばれる。年末年始に慌ただしく働いた主婦たちの骨休めの意味合いもあり、夫たちは姿を見せず留守番か友人宅などで静かに過ごすという。宴会が開かれる「宿元(やどもと)」は、地区内の数人~10人程度のグループごとに毎年持ち回りで担当する習わし。
 24日は日中に地元の主婦や母娘らが地蔵堂を訪れ、菓子などを供えて子どもの健やかな成長を祈願。夜になると、今年の宿元の中村美智代さん(63)宅に女性4人が集まり、ごちそうや酒を囲んで談笑した。しばらくすると全員がお面やかつらなどで仮装し、踊りながら外へ。鍋のふたや皿で音を鳴らしながら、地蔵堂に再びお参りした。
 かつては宿元が10軒ほどあったというが、現在宴会を催しているのはこのグループのみ。中村さんは「年に1回だから、この日のためにどんな仮装をするか考えるのが楽しい。みんなが年をとって歩けなくなるまで続けたい」と意欲を新たにしていた。

仮装して家の中で踊る女性ら=五島市玉之浦町

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