「福井洞窟」複合施設を整備 遺跡日本一アピールへ 佐世保市、公民館と支所併設

 佐世保市は、国指定史跡「福井洞窟」(吉井町)の出土品を展示したり、価値を解説したりするガイダンス機能を備えた複合施設を建設する。吉井地区の公民館と市役所支所も併設する計画で、12月ごろ完成予定。ガイダンス機能は2021年春ごろから運用を始める。
 福井洞窟は佐々川支流の福井川上流にあり、旧石器時代から縄文時代にかけて人々が生活した痕跡が残る。市教委が12年から発掘調査した結果、狩猟道具の細石刃や、やじりなど約7万点が出土。旧石器時代の洞窟遺跡としては国内で初めて炉跡(たき火の跡)を発見した。
 洞窟の価値を発信するため、市は14年に出土品の展示施設を整備する方針を表明。福井洞窟から約3・5キロ離れた場所に約6億8千万円を投じて複合施設を建設することを決めた。
 展示スペースは約600平方メートルあり、目玉として発掘現場の地層約6メートルを設置。出土品約500点に加え、炉跡などの複製品や当時の人々の暮らしを再現したジオラマを展示する。子どもが遺跡の発掘について勉強する体験室のほか、福井洞窟までの道のりや見どころを案内する情報コーナーもある。
 市教委文化財課によると、佐世保市内には福井洞窟をはじめ、国内最多の31カ所の洞穴遺跡が見つかっている。同課は「遺跡日本一の町をアピールする施設にしたい。福井洞窟で暮らした人々の風景を肌で感じる展示を目指す」としている。

福井洞窟のガイダンス機能を備えた複合施設の外観イメージ(佐世保市提供)
福井洞窟の展示スペースのイメージ。洞窟の地層や出土品を紹介する(佐世保市提供)

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