【高校野球】星稜、日本一のカギは秋6番打者の“成長” 「上級生の頑張りがもっと必要」

星稜・福本陽生【写真:沢井史】

昨秋の公式戦は6番打者として打率.369、12打点をマークした福本

 3月23日に開幕する第91回選抜高校野球大会の出場校の選考委員会が25日に行われ、昨秋の北信越大会で優勝した星稜(石川)にも吉報が届いた。林和成監督が期待の選手の1人として挙げているのが福本陽生(2年)だ。

 昨秋の公式戦の打率は.359で12打点を叩き出した。6番打者としてポイントゲッターとなったが「数字としては悪くなかったんですけれど、内容がまだまだでした。強い打球というか、質のいいヒットは打てていなかったんです。打球の力強さが足りないと秋に感じました」と満足はしていない。

 昨春のセンバツでは2試合でスタメン出場したが無安打。夏の甲子園ではメンバーから外れた。だが、現チームでは打線の核となれたのは、夏場からの地道な努力があったから。チームとして敢行する筋力トレーニングに加え、生活リズムを意識した食事にも気を遣っている。

「食事を摂るにしても、寝る前に食べると消化が悪くなってしまうので食べるタイミングをしっかり整えて、常に体を良い状態にするようにしています」

 飛距離をアップさせるために体重を増やすことも大事だが、やみくもに増やすだけでは意味がない。状況によってはショートを守ることもあるため「動きも重視しながら体を作っていきたいです」と体のバランスにも気を配っている。

1年生が中軸を務める星稜打線「自分たちが春に柱になれるようにしたい」

 練習では、秋に出た「質の高い打球」という課題に向けてあらゆる策を練る。ティーバッティングひとつにしても、ボールを捕らえる位置やボールの回転によって打球も変わるため、ただこなすのではなく、目的をきちんと持つ。チームとして行う“縦振り”では「下半身強化にもなりますし、バットの出し方やひじの抜き方の練習にもなるのでポイントを意識して振っています」と、ひと振りを大事にしている。

 秋は1年夏から遊撃手のレギュラーでもある内山壮真(1年)が福本と同じ12打点を挙げ、打率は3割超えと4番打者として気を吐いた。福本がもし中軸に座ることになれば、打線にさらに厚みが増す。

「秋に比べてスイングに力がついてきたことは感じます。秋は中軸が1年生(3番は1年生の知田爽汰)だったので、上級生の頑張りがもっと必要だと思っています。自分や山瀬など経験者は多いので、自分たちが春に柱になれるようにしたいです」

 攻撃面が課題だと言われる星稜で、福本が打線のキーマンとなれるか。昨春の悔しい思いを晴らすために。そして悲願の日本一に向けて。福本の打棒にも熱い視線が注がれている。(沢井史 / Fumi Sawai)

© 株式会社Creative2