「置き勉」で負担軽減 大和、低学年児童や保護者に好評

 通学時のランドセルが重くなり、身体的な負担になっているとの懸念が広がる中、大和市内の小学校で、必要性の低い教材などを学校に置く「置き勉」を認めるなど改善に向けた動きが出てきた。既に実践している学校では低学年の児童や保護者に好評で、心配された盗難や紛失も起きていないという。

 市立中央林間小(同市中央林間9丁目)は昨年10月、これまで医療機関の診断などから一部の児童に認めていた置き勉の対象を全児童に広げた。

 独自に定めた指針は、(1)国語と算数の教材・学習用具は原則持ち帰る(2)その他の教材・学習用具については家庭学習などに必要かどうかを各家庭で判断し、必要でない場合は教室に置くことを認める-とした。

 今回の対応は、子どもたちの体に過剰な負担になっていると保護者らからの指摘を受け、文部科学省が同9月に全国の教育委員会に出した携行品の重さや数に配慮を求める通知を受けたもの。通知では「家庭学習で使う予定のない教材は置いて帰る」といった工夫例も紹介している。

 同校の校長は早速、職員と相談して置き勉の全面解禁を決定。「学校だより」で「医学的に見て成長阻害の懸念がある」などと保護者に周知した。

 置き場所は教室内の個人の開放型ロッカーと机の中。収まりきらない場合などは、担任教諭が教材を預かって扉付きロッカーなどにまとめて保管している。各教室の出入り口に鍵はあるが、放課後は施錠していないという。

 校長は「『ランドセルが軽くなり、通学が楽になった』と体が小さい1、2年生に特に喜ばれている。社会と理科は副読本が多く負担は大きかったようだ」と説明。「教材が増える5、6年生は置く場所が足りないとの声も出ている。盗難・紛失や宿題を怠るなどの混乱は起きていない。持ち物の負担を軽減することは夏場の熱中症対策にもなる」と話す。

 別の市立小学校でも1月から置き勉の検討を開始、新年度からの運用を目指しているという。同校校長は「文科省から通知が出される以前は、持ち物が重過ぎるとの保護者らの苦情は聞かれなかった。置き場所をどこにするか検討する必要がある。実際に重さも計ってみたい」と語っている。

 小中学校の教科書は「脱ゆとり教育」への転換でページ数が増加した。同市に隣接する海老名市では昨年11月、市教委がモデル校で計測した結果、小学校では平均約5キロ、最大約9キロだった。学校ごとに対応がばらつかないよう、海老名市教委は校長会と協議しながら改善に乗り出している。

担任教諭が教材をまとめて保管=大和市立中央林間小学校

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