『七つの会議』 萬斎の「やり過ぎ」と「常人離れのオーラ」に笑ってしまう

(C) 2019映画「七つの会議」製作委員会

 『半沢直樹』『下町ロケット』『陸王』を手掛けたTBSの制作チームが映画化した社会派エンターテインメントだ。主演は野村萬斎だが、ドラマで活躍したそうそうたる俳優陣が、これでもか!と登場する。中堅の電機メーカーで「居眠りハッカク」と揶揄されるぐうたら社員を主人公に、彼への“パワハラ”騒動が発端となって企業の隠蔽体質が暴かれていく過程がスリリングに描かれる。ミステリータッチの味付けも利いている。

監督は福澤克雄。TBSドラマ部の二枚看板である土井裕泰がテレビの演出家とは思えない映画らしい映画を撮り続けるのに対し、福澤の映画はテレビ的だ。だから、大きいスクリーンで観ると演出も演技も大仰に映る。しかも、野村萬斎がいかにも野村萬斎らしく真ん中に陣取っているのだ。そのやり過ぎ感と常人離れしたオーラに、思わず笑ってしまう。まるでギャグのよう。でも、これ、見たことがあるぞ…と思い至る。怪獣映画だ。

そうか、魑魅魍魎が跋扈するサラリーマン社会を表現するため、意識的に怪獣映画のテイストを取り入れているのだろう。大ヒットした『シン・ゴジラ』の例を挙げるまでもなく、今や怪獣映画は大人から子供まで幅広く愛される人気ジャンルなのだから。そういえば、『シン・ゴジラ』でゴジラのモーションキャプチャーを担当したのは野村萬斎だった。納得。★★★☆☆(外山真也)

監督:福澤克雄

出演:野村萬斎、香川照之、及川光博、片岡愛之助

2月1日(金)から全国公開

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