食品ロス

 「需要に見合った販売をするよう会員企業に周知してください」。農林水産省が今月11日、小売業者の団体に異例の呼び掛けをした▲食文化として広まった恵方巻きの時季を控え、予約販売の徹底など食品の廃棄を減らす対応を求めたのだ。昨年と一昨年、店に用意された商品が大量に売れ残り、処分されたことがきっかけという▲農水省は生産販売する業界だけでなく、消費者にも協力を求めている。「資源を大切にする気持ちを」「店になくても文句を言わないで」、と▲まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」が関心を持たれている。消費期限と賞味期限の違いを知ってもらい食べ物を無駄にするのを減らそうとしたり、余剰食品を必要とする人に届ける対応も取られている▲新たな動きがある。きのう召集された通常国会に、超党派の議員連盟が生産から消費までの過程で生じる食品ロスを減らすための法案を提出するという。骨子案は、国民がそれぞれの立場で参加する「国民運動」と定義し、取り組むのは国や地方自治体、事業者の責務だと位置付ける▲宴会場で余った料理や店で売れ残った食品を目の当たりにしてもったいないと感じ、手立ての必要を感じる市民は少なからずいる。国民運動の提起が食品ロスを減らす追い風になれば。(謙)

© 株式会社長崎新聞社