テレビ朝日系では開局60周年を迎える本年、山崎豊子氏の大ベストセラー小説「白い巨塔」を岡田准一主演で5夜連続で放送する（放送日未定）。このたび、岡田が演じる主人公・財前五郎の同期でありライバル医師でもある浪速大学医学部第一内科・准教授の里見脩二役を松山ケンイチ、財前の師であり浪速大学医学部第一外科・教授の東貞蔵役を寺尾聰が演じることが分かった。
大阪の大学病院を舞台にした同作は、医療ドラマの枠を超えて人間の本性に迫り、山崎作品の中でも“最高傑作”と呼び声の高い不朽の名作だ。今作では物語の設定を現代に置き換え、最新医療ならではの今までにない新たな「白い巨塔」の世界を紡ぐ。松山が演じる里見は教授の座を射止めるため野心を燃やす財前とは対極をなし、出世には関心がなく、患者を診ることと自身の研究だけに心血を注ぐ医師だ。「僕が演じる里見は、医者の良心のようなキャラクター。本作で描かれる大学病院が考えがちな、“医者と患者の上下関係”とは少し抜け出したところから患者を見ている人です」と役柄を分析する。
本作については「大学病院を舞台にした物語ではありますが、そこにいる人間の“それぞれの生き方”がぶつかっていく物語なのかなとも思いました。大学病院を通して人間という生き物を観察しているような感覚」と表現し、財前役の岡田を「とてもパワフルな演技をされる方で、『岡田さんがこう来るなら、僕もこうしよう』というふうに組み立てられていったので、より対比がある2人になっているのでは」と手応えを語った。
その岡田は、対極にいる2人ということで松山とは現場でもあえて距離を詰めずにいたという。松山の存在は安心感があり、「こちらがガンガン攻めても、揺るぎなく真っすぐな目線で芝居をされる。胸に刺さるお芝居をされる方でした」と初共演の確かな感覚を抱いている。
そして、財前の師・東を演じる寺尾。やがて東と財前は対立を深めていくことになり息詰まる男同士のぶつかり合いが見どころになるが、「岡田准一くんと松山ケンイチくんという魅力的な2人が、この『白い巨塔』を描いてくれるということが出演の決め手でした」と寺尾は出演の経緯を明かし、「日本のテレビ・映画界の中心になっているこの2人が、一体どうぶつかり合うのか…。そして、この2人の間に自分がどういられるのか楽しみ」と期待を寄せている。
寺尾が全幅の信頼を寄せる岡田は、「寺尾さんとは、じっくりと対峙しながらお芝居をしている感覚があります。東先生と財前は師と弟子であり、親子のようでもあり…。反発しているけれど、どこか甘えている部分もあるという愛憎の探り合いを感じます。寺尾さんとは芝居を通して、たくさん会話させていただきました」と全力で挑んだことを明かした。
最後に、「物語の後半になるにつれて、財前が追い込まれていくので、撮影も苦しくなることが多くなりました。セリフを覚えたはずなのに、財前が不安だから自分も不安になって、芝居に自信がなくなってくるということもあり、終盤は戦いの連続でした。原作と過去の作品をリスペクトしながらも全く別のものを作っている感覚があるので、皆さんにはまた新しい現代の『白い巨塔』を楽しんでもらえると思います。期待していただけたらうれしいです」とアピールした。
