蓮華岳(れんげだけ)ってどんな山?
- 標高: 2799m
- 山頂所在地: 富山県中新川郡立山町、長野県大町市
- 最高気温(6月-8月): 13.2℃
- 最低気温(6月-8月): 4.9℃
参考:ヤマレコ
北アルプスは黒部湖を挟んで立山の東側、富山県中新川郡立山町と長野県大町市にまたがってそびえる日本三百名山「蓮華岳」。ゆったりした山容が特徴的で、標高は2,799m、蓮華岳と周辺の山並みを蓮の花に見立てた際にその中心の山となることからその名が付けられたと言われています。針ノ木峠を挟んで後立山連峰南端の針ノ木岳と稜線が繋がり、360度の展望がある山頂からは北アルプスの名だたる山々を一望することが可能です。
蓮華岳のベストシーズンは?
蓮華岳の登山適期は7月上旬~10月上旬です。夏になると高山植物の女王コマクサをはじめとした数々の花が咲き乱れることでも知られ、道中その姿を目にすることができるでしょう。コマクサは特に山頂付近の砂礫地帯で多く自生しています。また、コース上の山小屋は夏季シーズンのみの営業となっています。
人気の扇沢ルートでは雪渓歩きも楽しめる!
蓮華岳を登る最も人気の高い扇沢ルートでは、白馬大雪渓や剱沢雪渓などとともに日本三大雪渓に数えられる針ノ木雪渓を通って登ることとなります。7月や8月のシーズン時でもその大部分が残っており、雪渓歩きを楽しむことができますよ!雪渓の状況は常に変わるので、雪渓の取り付き地点の近くに建つ大沢小屋で最新の情報を得てから登るようにしましょう。
針ノ木岳|大雪渓と花々を抱く山!日帰り登山・縦走ルートまとめ
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ずばり、蓮華岳の難易度は?初心者でも登れる?
蓮華岳登山のメインルートである扇沢ルートの難易度は、信州山のグレーディング表では4Bとなっており、中級者向けといえます。日帰りでの登山経験があり、1日6時間ほど歩ける体力があれば登ることができますよ。雪渓歩きなどもあるので、装備や雪渓の最新情報入手等、準備はしっかりとしておきましょう。
地図も必ずチェック!山と高原地図 鹿島槍・五竜岳
登山地図の定番といえばコレ!マップ詳細はもちろん、バスやマイカーでのアクセスにも便利!
蓮華岳の天気は?
蓮華岳に行く前に現地の天気をこちらでCHECK!
①1泊2日で行ける!中級者向け蓮華岳おすすめ登山コース
扇沢から日本三大雪渓に数えられる針ノ木雪渓を通って蓮華岳山頂を目指す、1番メジャーなコースを紹介します。標高差は1,400m近くありますが、半分以上は針ノ木雪渓で高度を上げていきます。そのため、軽アイゼンは必須!また、初夏はかなり高いところまで雪渓となっていますが、夏も終わりになるとだいぶ溶けて夏道の登りとなる部分も多く、時期によって若干変わってきます。
これぞ天然クーラー!扇沢~針ノ木大雪渓を通り蓮華岳へ向かうコース
- 距離: 約12.4km
- コースタイム: 10時間
- 日程: 1泊2日
- 難易度: ★★★☆☆
参考:ヤマプラ
▼1日目
扇沢(90分)→大沢小屋(210分)→針ノ木峠/針ノ木小屋 泊
立山黒部アルペンルートの長野県側入口である扇沢駅が登山口となります。24時間開いているトイレや自動販売機などがあります。
準備が整ったら、扇沢駅の建物の左手にある、林道へと続くゲート横の針ノ木岳登山口へ。登山口にポストがあるので、登山届を提出しましょう。
コース序盤の途中までは整備されている針ノ木自然歩道を進むことになります。登山道は林道と交差しており、4回ほど林道に出たり登山道に戻ったりを繰り返しつつ、緩やかな道を登っていきます。
登山道からは、眼前に見事な針ノ木雪渓や針ノ木岳、連なる稜線の姿が!やがて樹林帯は美しいブナ林となり、緩やかに高度を上げていきます。鳴沢や赤沢の渡渉も経て、大沢小屋へ。
樹林に囲まれた大沢小屋。営業期間は7・8月の約2か月間です。アイゼンのレンタルもありますよ。雪渓の様子は日々変わるので、小屋で最新の情報を確認してから出発しましょう!
明治~昭和初期に活躍した登山家で、日本初の山岳ガイド組織である山案内組合の設立や大沢小屋・針ノ木小屋を建てたことで知られる「百瀬慎太郎」を偲んだレリーフが小屋の前の岩に埋め込まれています。また、その隣には小さな祠も。
大沢小屋からしばらく緩やかに登ると針ノ木雪渓のある沢へと出ます。雪渓の取り付きポイントまで登り詰めて行き、アイゼンを装着していざ出発!雪渓は基本的に中央を歩きますが、ベンガラ等でルートが示されているときはそれに従います。落石に気を付けて登っていきましょう。
雪渓が狭くなっている「のど」と呼ばれる地点までは急な登りもあり。また、雪渓終点近くでマヤクボ沢の雪渓が合流しているため、ガスが出て視界が悪いときに迷いこまないように注意も必要です。
高度が上がると背後には鳴沢岳や岩小屋岳、爺ヶ岳の姿も!雪渓終点から夏道へ入り、急斜面を九十九折に登り詰めれば、針ノ木岳と蓮華岳の鞍部に位置する針ノ木小屋へと到着です。
▼2日目
針ノ木小屋(70分)→蓮華岳山頂(50分)→針ノ木峠/針ノ木小屋(120分)→大沢小屋(60分)→扇沢
針ノ木峠から西へ向かえば二百名山の針ノ木岳。東へ向かえば今回目指す蓮華岳です。針ノ木小屋から最初のちょっとした急登を越えれば、ザレた道とハイマツの歩きやすく快適な稜線歩きが待っていますよ。蓮華岳山頂までは約1.6km、1時間の道のりです。
稜線からの景色も抜群!進路左手には爺ヶ岳や鹿島槍の姿。右手側には裏銀座の山々を望めますよ。2,754mのピークを越えると蓮華岳をいよいよ視界にとらえることができ、山頂直下などの岩礫地帯でコマクサが可憐に咲いているのも目にできます。山頂手前には若一王子神社の奥社となる祠も鎮座しています。
山頂には、北アルプスの名峰の数々をまとめて望める贅沢な360度の大展望が待っています。西には黒部湖や立山・剱。南には槍・穂高・裏銀座の山並み。北には爺ヶ岳や鹿島槍などの後立山連峰の名峰たち、と北アルプスを存分に楽しめますよ!
帰りは来た道を戻ります。
②上級者向け!蓮華岳~七倉ダムへの縦走コース
続いて紹介するのは、蓮華岳からさらに足を延ばし、七倉山荘まで縦走するコース。長い距離を歩き、蓮華の大下りなど難易度が高めのスポットもあるので、上級者が対象となります。自信の無い人は終盤の船窪小屋で1泊プラスするのも◎。後立山の南端である蓮華岳より南は訪れる人が少なく、静かな山行が楽しめますよ。
蓮華岳のほか北葛岳、七倉岳を縦走して七倉山荘へ向かうコース
- 距離: 約14.2km
- コースタイム: 14時間40分
- 日程: 1泊2日
- 難易度: ★★★★☆
参考:ヤマプラ
▼1日目
扇沢(90分)→大沢小屋(210分)→針ノ木峠/針ノ木小屋 泊
▼2日目
針ノ木小屋(70分)→蓮華岳山頂(150分)→北葛岳(120分)→七倉岳/船窪小屋(30分)→天狗の庭(140分)→唐沢のぞき(70分)→七倉山荘
※蓮華岳山頂までは①と同じコースを歩きます。
蓮華岳からは直角に進路を変更します。南に目を向ければ、これから歩く稜線とともに左手前に黒い頂をたたえる「北葛岳」の姿が見え、さらにその右側には「七倉岳」の姿も!
蓮華岳から北葛岳へは標高差500mもの急な下り、通称「蓮華の大下り」を経て、300mを登り返す道のり。非常に急な斜面を下っていきます。鞍部の北葛乗越まで1.6kmほどにもかかわらず、標高差500mの激下りとなります。
序盤は砂礫の稜線を下っていきますが、段々と斜度が増してガレの急斜面となり、それが終わってもお次は岩場の下り。最低鞍部の北葛乗越まではまだまだ!気を抜くことができません。
岩場には鎖場もあり、少しずつ途切れますがかなり長く鎖場が続きます。慎重に歩を進め、鎖場が終わった地点が北葛岳までの中間地点である北葛乗越です。
平坦な鞍部の北葛乗越から1時間程かけて登り返します。標高差は300mほど。序盤の急な露岩帯を乗り越えれば傾斜は緩やかに。北葛岳からはたおやかでゆったりした蓮華岳と、それとは対照的な鋭い針ノ木岳がよく見えます。
北葛岳に続いて、向かうは七倉岳。再び一旦下って登り返すこととなります。やや急な下りと梯子のある急斜面も経て七倉乗越へ降り立てば、次は登り返しで急な痩せ尾根も登っていきます。補助のワイヤーロープが張られた場所もあり。慎重に登っていきましょう。
痩せ尾根を越えたら緩やかな稜線を経て最後のピーク、七倉岳。標高2,509m、隣の船窪岳や不動沢の谷間を挟んで相対する不動岳へと続く稜線もくっきり見えますよ。
七倉岳ピークから10分ほどのところにはこじんまりとした船窪小屋が佇んでいます。ランプと囲炉裏の小屋で、槍・穂高連峰の眺めも良く、日程が許すなら下山前に一泊プラスするのも良いかも。
船窪小屋を後に下山をスタートして30分程度で最初のポイント、天狗の庭。9合目に位置し、高瀬ダムや烏帽子岳をはじめ、槍・穂高の眺望も楽しめます。ここがコース最後の展望スポットです。
天狗の庭を超えると樹林帯に入ります。まずダケカンバ帯に入り、続いて8合目の鼻突八丁では梯子の斜面の連続も。七倉尾根の樹林帯は急な下りも多いため、慌てず確実に歩を進めて行きましょう。
ぐんぐん下って唐沢のぞきに着くと、七倉まであと1時間、ともう一息。ここはその名の通り、高瀬川の谷を挟んで南側に唐沢岳の山容を覗くことができます。電波も入ることがあるので、タクシーを事前に呼ぶ場合はこの辺りで手配すると良いかも。
急斜面のジグザグも経て、唐沢のぞきからおよそ1時間、七倉登山口へと到着です。七倉山荘は登山口から目と鼻の先、一般車通行止めゲートの先にあります。
七倉ダムのほとりに立つ七倉山荘。七倉温泉が湧いており、登山の疲れを落とせますよ!県道326号を下っていくと、高瀬館など他にも温泉宿あります。なお、七倉から扇沢まではタクシーで戻ることができます。
蓮華岳周辺の山小屋紹介
扇沢からの蓮華岳登山(ルート①)や蓮華岳から七倉岳への縦走(ルート②)コース上にある山小屋を紹介します。
大沢小屋
扇沢から1時間のところに位置し、ルート①②ともに使用可。宿泊しなくても、雪渓の最新情報の確認や雪渓に入る前の休憩等で立ち寄っておきたい重要拠点です。アイゼンのレンタルもあります。
住所:長野県大町市平
電話:
・予約、問い合わせ:0261-22-1584
・針ノ木小屋直通:090-2323-7145
営業期間:7月上旬~9月上旬
標高:1675m
収容人数:30人
料金:
- 宿泊料: 6,300円
- 食事代(夕食): 1,700円
- 食事代(朝食): 1,200円
- テント(2~3張): 500円
※針ノ木小屋泊も含め連泊割引あり
針ノ木小屋
針ノ木岳と蓮華岳の鞍部の針ノ木峠に位置し、ルート①②ともに使用可。北アルプスのど真ん中の稜線上にあるため贅沢な360度ビューが楽しめます。食堂メニューにはラーメンや丼もの、ヱビス生ビールもあり!なお、テント泊でも食堂利用が可能です。
住所:長野県大町市平
電話:
・予約、問い合わせ:0261-22-1584
・針ノ木小屋直通:090-2323-7145
営業期間:7月上旬~10月上旬
標高:2,536m
収容人数:100人
料金:
- 宿泊料: 6,400円
- 食事代(夕食): 1,900円
- 食事代(朝食): 1,200円
- お弁当: 800円
- テント(30張): 700円
※大沢小屋泊も含め連泊割引あり
船窪小屋
蓮華岳から縦走した先の七倉岳稜線に位置し、ルート②のみ使用可。電気がなく、昔ながらのランプと囲炉裏を使っている山小屋で、槍・穂高も望めて眺望抜群!
住所:長野県北安曇郡小谷村千国乙12840−1
電話:080-7893-7518(小屋直通)
営業期間:7月1日~10月の連休の最終日
標高:2,459m
収容人数:30人
料金:
- 1泊2食付き: 9,500円
- 一泊夕食付き: 8,500円
- 1泊素泊まり: 6,500円
- 夕食のみ: 2,000円
- 朝食のみ: 1,000円
- お弁当(おにぎり2個): 700円
- 水(500ml): 100円
- テント(10張): 500円
七倉山荘
七倉岳の麓、裏銀座縦走や後立山縦走への玄関口に位置する山荘で、ルート②のみ使用可。七倉温泉が湧いており、日帰り入浴も可能です。源泉かけ流し露天風呂もありますよ!
住所:長野県大町市高瀬入2118-2
電話:090-6007-0208/0261-22-4006
営業期間:4月中旬~11月中旬
標高:約1,060m
収容人数:32人
料金:
- 1泊2食付き: (税抜)9,000円
- 1泊夕食付き: (税抜)8,500円
- 1泊朝食付き: (税抜)8,000円
- 1泊素泊まり: (税抜)6,000円
- 日帰り入浴: 650円
- テント(10張)+温泉入浴付き: (税抜)1,500円
- 弁当: (税抜)1,000円
登山口までのアクセスや駐車場を紹介
蓮華岳登山口までのアクセス方法を紹介します。登山口は、黒部ダム観光をはじめ、針ノ木岳や鹿島槍ヶ岳などいくつかの山の登山拠点にもなっている「扇沢」駅の傍にあります。扇沢駅には500台以上停められる大駐車場やトイレ、売店、レストランなど施設が充実。利便性の高い拠点のため、シーズン時は大勢の人で賑わいます。
蓮華岳の登山口へのアクセス、駐車場情報
【車の場合】
・長野自動車道 安曇野ICから約70分
・上信越自動車道 長野ICから約90分
<駐車場>
扇沢駐車場(第1~第4)
住所:長野県大町市平2117
電話番号:0261-22-2526(扇沢駅)
駐車台数:350台
料金:
・第1、第2駐車場:12時間1,000円
(※以降12時間毎に1,000円加算)
・第3、第4駐車場:24時間1,000円
(※以降24時間毎に1,000円加算)
大町市営第1、第2駐車場
住所:長野県大町市平2117
電話番号:0261-22-2526(扇沢駅)
駐車台数:230台
料金:無料
【電車、バスの場合】
JR大糸線「信濃大町駅」よりアルピコ交通バス→「扇沢」下車
【高速バスの場合】
夏期のみ、高速バス「毎日あるぺん号」で新宿から扇沢まで直通で行くことができます
最高の眺望と雪渓のアドベンチャーが待つ蓮華岳
後立山と裏銀座への縦走路との間に位置するロケーションから、山頂からは360度北アルプスの名だたる山々が見渡せる蓮華岳。日本三大雪渓に数えられる針ノ木雪渓の登りといったアドベンチャラスな興奮も味わえ、さらにはコマクサなど高山植物にも出会える見どころがたくさんの山です。魅力満載の蓮華岳を、ぜひその身で味わってみてください!
【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。)
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。