葉山町堀内にあるファミリーレストラン「デニーズ葉山森戸店」が31日で閉店する。相模湾が目の前に広がるテラス席や、店独自の朝食メニューなどが人気を呼び、地元で愛されてきた。常連客からは閉店を惜しむ声が上がっている。
運営するセブン&アイ・フードシステムズ(東京都)によると、同店は1991年8月にオープン。相模湾が一望でき、好天時には富士山まで望める開放的なテラス席がある。またカナダ生まれのサンドイッチなど限定メニューを朝食時間帯に取り入れ、人気を呼んでいた。
同社は今月、閉店を決定。その理由を「長い間、多くの方に利用していただいた店舗で、営業を続けたかったが、諸般の事情です」と説明する。
昨年10月末からテラス席への出入りが禁止に。店舗入り口には、塩害による経年劣化のためとする張り紙が張られた。
閉店を知って足を運んだ鈴木佳美さん(53)、潮音(しおん)さん(22)=横浜市栄区=の親子は「テラス席からの非日常的な眺めが最高で、ドライブがてらよく来ていた」と思い出を語り、「お気に入りの場所がまた一つなくなって残念」と寂しがった。
店を後にしようとしていたのは、近所に住む常連の室松正子さん(89)。「平日昼なのにあまりの行列。入店は諦めたの」と笑った。夫を亡くし、長男の住む葉山に引っ越した1年4カ月前から、店に通うようになった。「店員さんが優しく、きれいな景色も見られ、落ち着く場所。年を重ね、あまり料理をしなくなったので、ここでご飯を食べるのが楽しみだった」と話し、「またオープンしてくれたらうれしい」と再開を望んだ。