伊有名シェフとそうめんコラボ 新食文化で古里活性化 

 イタリアのプロサッカー選手や政治家らが通う有名レストラン「マリエラ」の総料理長パコ・ザノビーニ氏(37)が初来日し、南島原市特産「島原手延べそうめん」を使って腕を振るう特別ディナー会が31日、北九州市で開かれる。南島原市布津町に昨年Uターンした吉岡製麺工場の吉岡謙志(たかし)さん(26)らが主催。「そうめんの新しい食文化が生まれ、古里活性化に貢献できれば」と意気込んでいる。
 吉岡さんは高校卒業後、2011年から昨年8月まで7年余り、新日鉄住金(東京)の八幡製鉄所(北九州市)に勤務。鉄抽出用の高炉オペレーションなどに従事した。「より消費者と近い実家の製麺業に携わり、特産そうめんや地域の発展に貢献したい」と人生を見つめ直し昨年、帰郷した。
 昨年9月に北九州市であった読売テレビチーフプロデューサー西田二郎氏(53)の講演会に参加し、講演会の一こまとして吉岡さんがそうめんを通じた古里発展の思いをプレゼンテーション。日本伝統の食文化を海外に売り込むギフトコーポレーション(東京)社長の池田有志氏(34)が会場で感銘を受け、翌月にイタリアを訪ねてザノビーニ氏に島原そうめんとのコラボを依頼した。かねて日本食に興味が強かった同氏は快諾。池田氏が持参したそうめんをその場でイタリア風にアレンジし、2品を振る舞ってくれたという。
 31日夜は北九州市小倉北区のレストラン「ベック」が会場を提供。ザノビーニ氏が当日に市場で仕入れた野菜や魚介類、肉などを使い、オリジナルそうめん料理を中心とした2万円のコースを25人に提供する。ディナー会は既に満席という。
 吉岡さんは「市内などの製麺業者が長年築いてきた手延べそうめんの歴史に敬意を払い、その土台の上で新しいイノベーションが生まれれば」と話す。

「そうめん振興や古里発展に貢献したい」と意気込む吉岡さん=南島原市布津町、吉岡製麺工場
ザノビーニ氏がアレンジしたそうめん料理(吉岡さん提供)

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