「艦これ」?「岡っ引き」の異名 海自初の哨戒艦

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左はドラマ「銭形平次」で主演した村上弘明さん=2004年、右は過去の海上自衛隊ミサイル艇(海自提供、哨戒艦ではありません)

 「軍艦」や「刀剣」を擬人化したアニメキャラクターに見立てたゲームがここ数年若い世代に人気のようだ。それにならったのだろうか? 「分かりやすく言えば『岡っ引き』です」。海上自衛隊が初めて導入する「哨戒艦」について、幹部自衛官が先日ある会合で時代劇に登場する「十手持ち」になぞらえて説明しているのを聞いた。年末に決まった新防衛大綱では護衛艦「空母化」や宇宙・サイバー空間への対処が大ニュースとなり、あまり注目されなかった。2029年度までに12隻配備されるという新型艦艇の位置づけを考えてみた。

(共同通信=柴田友明) 

 「哨戒艦」は領土・領海防衛のための警備パトロールや外国海軍艦艇の監視、救難活動も担う艦艇と定義されるようだ。旧日本海軍では古くなった駆逐艦をその任務に就けていたが、海自にはなかった。「岡っ引き」と称されると、海の犯罪を取り締まる海上保安庁の巡視船・巡視艇と混同されそうだが、れっきとした軍事用だ。韓国海軍によるレーダー照射問題で話題になった海自「哨戒機」と同じような任務に向き合うことになる。

海上自衛隊のミサイル艇「おおたか」=2015年10月18日撮影、神奈川県沖の相模湾で海上自衛隊ヘリから自社撮影=2015年

  前述した幹部自衛官の時代劇になぞらえた発言では「今までは(剣豪の)用心棒である護衛艦が岡っ引きも兼ねて走り回っていた」「これからは岡っ引きが対応できなければ、『先生お願いします』と用心棒(護衛艦)が出張ることになる」と説明が続いた。

 会合は大半が自衛官OBの〝中高年世代〟の集まり。出席者は、名作ドラマ「銭形平次」(かつては大川橋蔵さん、最近は村上弘明さんが主演)、黒沢明監督の映画「七人の侍」「用心棒」などの殺陣シーンを思い浮かべたかもしれない。洋上の実任務を知っている多くの出席者に最近の変化を分かりやすく伝えようとする説明者の配慮も感じた。 

 一方で、トン数や哨戒艦の装備についての言及はなかった。現時点で防衛省も詳細は明らかにしていないが、10年間で新たな艦船を12隻建造するということは、明らかに中国海軍増強への対応でもあろう。新大綱が決まった12月末、中国のニュースサイトの中には、海自のこの哨戒艦の性能を推測してわざわざ取り上げたところもあった。1000トン規模で乗員約30人、最新対艦ミサイルを備え、哨戒ヘリ離着陸も可能。自国軍の同レベル艦と比較しながら、それでも中国側の優位は変わらないとの解説記事もあった。

 どうも先方は「岡っ引き」でも相当な〝親分格〟を想定しているのかもしれない。

東シナ海で実弾射撃訓練をする中国海軍、東海艦隊の新型ミサイル艇=中国浙江省沖(新華社=共同)、2010年