Z世代の中学1年が児童労働に取り組む「やりがい」

社会貢献についての考えを話す武田さん 写真:高橋慎一

ミレニアル世代よりもさらに若い「Z世代」(1996年以降の生まれ)は社会貢献をどうとらえているのか。神奈川県内の幼小中高一貫校・湘南学園に通う中学1年生の武田智生さん(13)は、児童労働を根絶するための啓発活動に精を出す。クラウドファンディングで活動資金を集める武田さんは、社会貢献のやりがいについて、「課題解決を通して長期的に自分の思いと向き合えること」と話す。(オルタナ編集部=池田真隆)

武田さんは学校の授業で、アフリカで起きている児童労働について知ったことがきっかけで、任意団体「チョコプロ」を立ち上げた。児童労働が起きる背景や児童労働で苦しんでいる子どもの生活について、情報発信を行う。

現在は、2月14日のバレンタインデーに向けて、児童労働についてのドキュメンタリー映画「バレンタイン一揆」を校内で上映するために動いている。啓発活動だけでなく、フェアトレードチョコレートの販売や生徒から集めた文房具を、NPOを通して途上国へ届ける取り組みも行う予定だ。活動資金は湘南学園が運営するクラウドファンディングサイト内で募集している。

武田さんは社会貢献をどうとらえているのか。「子どもたちの笑顔につながることがうれしい。活動に対しては、みんな協力してくれる」と話す。約30人がチョコプロのメンバーに加わった。

一方で、「面倒くさいことよくやるね」とも言われるという。だが、「スマホゲームやユーチューブなど面白いことはほかにもあるが、長期的に自分の思いと向き合えるのは社会貢献ぐらいだと思う。だから楽しんで続けている」。

武田さんの父親は書道家の武田双雲さん。活動を始めるにあたり父からは「感謝の気持ちを忘れてはいけない」と教えを受けた。自分が楽しみ、感謝の気持ちを持ち続けること――この姿勢で社会貢献に取り組むことで、武田さんの周囲には人が集まっている。

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