バレンタイン商戦、「義理チョコ」から「寄付」へ

松屋銀座で販売される寄付付きのタブレットチョコレート

2月のバレンタインに向けチョコレート商戦が本格化しているなか、社会貢献に結び付ける動きが加速している。共栄火災海上保険は1993年から「“義理チョコ・あげたつもり・もらったつもり”バレンタイン・チャリティ募金」を実施し、2018年までに約4000万円の寄付を集めた。松屋銀座は、国際協力につなげる「サポチョコ」を提唱し、寄付付きチョコを限定販売する。(オルタナ編集部=吉田広子)

共栄火災がバレンタイン・チャリティ募金を始めたのは1993年。同社広報室の小林茂室長によると、「バブルだったころは特に、女性社員も男性社員もバレンタインデーとホワイトデーで苦労していた」という。

そこで、「もっと有意義な目的に使えないか」と考えた女性社員有志が同チャリティを発案した。義理チョコを「あげたつもり」「もらったつもり」で、一口500円を募金する仕組みだ。

寄付先は、NGOマザーランド・アカデミー・インターナショナル。集まった寄付金は、西アフリカ・マリ共和国の難民キャンプで、井戸や学校、医薬品倉庫の建設、砂漠化防止のための植林、水田づくりなどに活用されている。

「社員からは、『義理チョコやお返しの分を有意義に使えて嬉しい』といった声が上がっている。経済的な負担も減ったようだ。マリはまだまだ貧しく、こうした取り組みを長く続け、今後も支援していきたい」(小林室長)

「寄付チョコ」も続々と

国際NGOプラン・インターナショナル・ジャパン(東京・世田谷)は1 月30 日から、松屋銀座、女性向け情報サイト「OTEKOMACHI(大手小町)」(読売新聞)と共同で、「世界の女の子をチョコで支援(サポート)#サポチョコ」を実施する。松屋銀座では、「GINZA バレンタインワールド」(8階イベントスクエア)で寄付付きタブレットチョコレートを2月14日まで販売。売り上げの一部をプラン・インターナショナルの「Because I am a Girl」キャンペーンに寄付し、途上国の女の子を支援する。

デニーズでは、2月4日から2月15日まで、対象のチョコデザートを1食売り上げるごとに、10円を寄付する「バレンタイン・スリースマイルキャンペーン」を展開。寄付先は、カカオ生産国で児童労働問題に取り組む特定非営利活動法人ACE(東京・台東)だ。

森永製菓が2008年から続ける「1チョコ for1スマイルキャンペーン」では、この10年間で支援総額2億円以上を達成した。

同キャンペーンは、プラン・インターナショナルとACEの協力のもと、対象商品1個につき1円を寄付する仕組みで、カカオ生産国での教育支援、カカオ農家の自立支援を行ってきた。さらに、1月に販売開始した「カレ・ド・ショコラ<リッチクリーミーミルク>」には、ガーナの支援地域のカカオマスを使用し、寄付という社会貢献活動から、持続可能な調達に発展させた。

(左)「カレ・ド・ショコラ <リッチクリーミーミルク>」。(中)「1チョコ for 1 スマイルキャンペーン」イメージ図。(右)支援地区のガーナの子どもたち。

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