ルールをつくる習慣づくり[4]アイデアをどうやって引き出すか

前回、解決のヒントは思わぬところ(解決したいほどの問題ではない部分、解決する必然性が見つかっていない部分)に隠れていることが多いという趣旨の話をしました。すると「解決したいほどの問題ではないという例で『朝のラッシュの時刻表』が出てきたが、その場合の『時刻表は不要ではないのか』といったアイデアは、どうやったら浮かんでくるのか」といった質問を多くもらいました。
今回は、ルールをつくる上で「アイデアをどうやって引き出すか」といったことについて話します。

大喜利のなぞかけ

大喜利で、「〜とかけて、〜と解く。その心は?」といった「なぞかけ」というものがあります。これはヒントを導く発想力をつくる上で、とてもいい練習になります。目につくものであればなんでもいいので、「〜とかけて」を考えてみるのです。たとえば「スマホとかけて」などでもいいでしょう。

大喜利の謎かけは定番

ただなぞかけの難しいところは「その心は?」がおもしろくなければいけないという部分です。これは笑いのセンスも必要なので、練習としては上級レベルです。「スマホとかけて、本屋と解く。その心は“どちらも本が買えるでしょう」という答えは、おもしろくありませんし「なぞかけ」としても成立していません。

「スマホとかけて、新幹線から見える美しい富士山と解く。その心は”ついつい、ずっと見てしまいます」といった答えが及第点でしょうか。この場合落ちは、2つの”考えてもいなかった共通点”であることが大事。スマホで本が買えるといった、当たり前すぎることでは落ちにはならないのです。なので、初級レッスンとしては、この「共通点」を見つけることをオススメします。

2つのものの共通点を探す

「なぞかけ」では2つのものの意外な共通点を探すことが大切なので、まず世の中にあるものに、どのような共通点があるかを発見する癖をつけることが重要。

筆者が行っていた練習法は、

ということを、電車の中や散歩をしながら考えるというものでした。

たとえば電車の中では、(1)でスニーカー(2)でつり革、というような感じでテーマを決め、スニーカーとつり革の共通項を次の駅までに3つ考え、次の駅についたら、また同じように(1)と(2)を新に探し、共通項を次の駅まで3つ考えるということを毎日のように繰り返していました。

共通点を探すと、共通しない点が見えてくる

では前述のスニーカーとつり革の共通点を実際に考えてみましょう。「元々は革で作られていた」という共通項あたりまでは浮かぶとしても、なかなかそれ以降が出てこないと思います。なぜ出てこないかというと、スニーカーはまだしも、つり革についての知識をもち合わせていないことが大きいのではないでしょうか。

※今どきであればwikipediaなどで調べることで、その知識を埋めることも可能なので、ネットの力を借りて共通項を探すのもありだと思います。

しかし、ここで重要なことは「なにか共通のものはないか」と2つの共通項を探していくことで、改めて2つの「違うこと」にいろいろと気づく、ということです。

たとえば、

(A)つり革には広告がついているがスニーカーには広告がついていない

(B)スニーカーはさまざまな色のバリエーションがあるがつり革はそうでもない

といったものです。

また「もしかしたら?共通なのでは?」というものも浮かんできます。たとえば

(C)素材が似ているからつり革を製造している会社は実はスポーツメーカーなのでは?

といったようなものです。こういった「思いつき」をメモしておいて、この思いつきを「埋める」ことができないか思案するのです。

(A)についてならば「つり革のようにスニーカーに広告を入れるビジネスモデルは成り立つのか?」

(B)についてならば「つり革にカラーバリエーションをつけることでスニーカーのようなファッション的なムーブメントを起こすことは可能か?」

(C)についてならば「2つの素材や工程は似ているのか?」

ということを調べる、といった具合です。こうして2つの仮説と素材についての新しい知識を1つ増やすことができるのです。

このような癖をつけておけば、疲れているときや、好奇心が湧いてこないときでも、ある程度発想をしつづけることができるようになります。見つけた共通項は、しっかりメモをしておくことをオススメします。そして2つの共通点を3つの共通点まで増やす訓練もオススメです。

こうやって、筆者は仮説(アイデア)を立てる訓練をしてきました。仮説をたくさん立てると「なぜ仮説に実現性はないのか?」「なぜ、ある仮説には驚くほど拒否反応が出る人がいるのか?」など、次々と新たな疑問が出てきます。こういった疑問の答えの中にもまた大きなヒントが隠れているのです。

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