入居者殴りけが負わす 綾瀬の老人ホーム、施設長逮捕

 老人ホームの入居男性に暴行を加えてけがを負わせたとして、神奈川県警大和署は31日、傷害の疑いで、ホーム元施設長(54)=座間市入谷4丁目=を逮捕した。男性は9日後に施設内で意識を失って死亡しており、署は傷害と死亡との因果関係についても慎重に調べる。

 逮捕容疑は、1月17日午後6時5分から同25分までの間、当時勤務していた綾瀬市寺尾台1丁目の有料老人ホーム「リビングケア唯の郷綾瀬寺尾台東」で、入居する無職男性(69)の腹や顔を殴り皮下出血を負わせた、としている。

 調べに対し、同容疑者は「(施設内のルールなどで)指示に従わず、イライラして殴ってしまった」などと供述、容疑を認めている。施設内の防犯カメラ映像や職員の目撃情報から同容疑者が浮上したという。

 署によると、男性は車いすを使用して生活。同日以降も普段通りだったが、同26日朝に施設のトイレ内で意識を失って倒れているのを職員が発見し、搬送先の病院で死亡が確認された。腹部にあざが見られたため、病院側が110番通報。署は同28日に司法解剖を行ったが、死因は分からなかった。

 施設では14人が暮らしており、男性は2017年4月に入居。同容疑者は同9月から勤務していたという。運営会社のリビングケアは「社内調査で虐待の事実を確認して施設長を1月30日に懲戒解雇処分にした。被害者と遺族の方に深く謝罪し、再発防止に努めていく」とコメントした。

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