本気じゃない?韓国代表がアジアカップを勝てない4つの説

先月5日に開幕したアジアカップも佳境を迎えているが、この大会には「2つの不思議なこと」がある。

それはアジアの古くからの強国であるイラン代表と韓国代表が長年、アジアカップを優勝できていないということだ。

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イランは1968年から大会史上唯一の3連覇を達成しているが、それ以来、決勝にさえ辿りつけていない。今大会もグループステージから無失点で勝ち上がり「アジア最強」と謳われたものの、準決勝で日本に0-3と完敗。国民が待望した43年ぶりのアジア制覇が夢と散った。

一方の韓国もアジアカップが始まった1956年、第二回の1960年大会を連覇しているが、それ以来59年間、準優勝が4度あるものの一度も勝てていない。今回を逃したことで記録は最低でも63年に伸びる。

イランに関しては例えば3連覇を達成した2年後の1978年にイラン革命が起こり、社会的な大きな変革と混乱が彼らに影響を及ぼしたことは容易に想像ができる。

しかしアジアで断トツとなる10度のワールドカップ出場、2002年にはベスト4を成し遂げ、「アジアの虎」の異名を持つ韓国は、なぜ勝てないのだろうか。

これについてはっきりと言及する媒体がなかったため、今回は、巷で囁かれている説とともに韓国がアジアカップを勝てない理由を逆説的に論じてみた。

本気じゃなかった説

日本はここ2年AFCチャンピオンズリーグを連覇しているが、それまで10年ほど遠ざかっていた。その間によく聞かれたのが「Jクラブは本気じゃない」という声だ。

もちろんそこにはそれなりに説得力のある理由はあったのだが、負けた後に言ったところで言い訳にしかならない。ボコボコにされた後で「今日はこれぐらいにしといたるわ」という吉本新喜劇の池乃めだかのようなものである。

筆者はカタール戦の後、優勝できない理由について「韓国はこれまでアジアカップで本気じゃなかったから」と主張している韓国人や韓国のサッカーファンを見た。

ふむ、そうきたか。しかし、何事も事情を知らずに判断するのは愚かなことである。もしかすると本当なのかもしれない。

そうして調べてみると、彼らは1972年大会に同国最高の英雄チャ・ボムクンを送り込んでいるが、この時彼はまだ18歳。なるほど、確かに当初は若手や大学生主体で臨んでいたようである。

しかしそれも1980年大会まで。韓国は1983年にKリーグを創設しており、1984年大会以降の大会はほぼプロの選手、それも若手だけではなく後のワールドカップに出る主力で構成されていることも分かった。

日本が本気で臨むようになったのはその2大会後、自国開催された1992年大会から。それ以降の日本は7大会で4度制覇している。これ以上は言わなくてもいいだろう。

アドバンテージがなかった説

アジアカップは現在まで全17回が行われており、開催国が7度も優勝している。

2004年には中国で開催されたが、これまで一度しかワールドカップに出場したことがない中国代表が決勝に進出したことは記憶に新しい。

このことは開催国のアドバンテージがどれほど大きいかを端的に示すものだ。しかしながら韓国は、連覇を達成した1960年大会を開催したのみ。その後は一度もない。

かつては非常に貧しかった韓国であるが、日本の援助などで1970年に「漢江の奇跡」という経済発展を成し遂げると、1980年代の後半には軍事独裁政権から民主化に移行し、現在へと繋がる発展を遂げている。

その間には1988年にソウル五輪を開催し、2002年には日本との共催でワールドカップを開催。大会ではいろいろ物議を醸すこともあったが、アジア勢で最高成績となる4位という結果を残した。

そんな実績と経済力を持つ韓国がアジアカップを開催できない理由はないのだが…。

ちなみに日本は1992年に広島で開催しそれがこれまで唯一となっているが、この大会での初優勝、Jリーグ開幕をきっかけにサッカーブームが起き、今日のワールドカップ連続出場、アジアカップ4度の制覇に繋げている。

もし、韓国が自国で開催していれば2002年のようにその圧倒的なアドバンテージによってアジアを制圧し、その後もきっと「○○の奇跡」のような成功を収めていたに違いない。

栄養不足だった説

韓国のサッカーといえば、兵役の問題は避けては通れない。

一見すると普通の自由主義国家のように映る彼らだが、1950年に始まった南北の朝鮮戦争は「休戦状態」にあるというだけであり、一般国民の男子は兵役の義務が課せられている。

兵役は選手のキャリアを中断させ、それによってチームの戦力を削いでしまう負の側面があるが、反対に、兵役免除という「ニンジン」をぶら下げることで選手がいつも以上に頑張ることもある。

トッテナムで活躍するソン・フンミンが近年、わざわざ海外から年代別の国際大会に参加したのも、敗退の際に涙を流して悔しがったのもそれが理由である。

ちなみに兵役を免除されるのは五輪(3位以内)とアジア大会であり、ワールドカップとアジアカップは含まれていない。これは五輪とアジア大会があらゆる競技を対象とするのに対して、後者の二つはサッカー単体の大会であり、公平性に欠けるとの理由だ。

そう、アジアカップにはニンジンが足りないのだ。韓国人は情熱的な民族である。彼らの胸を熱くするような条件がぶら下がっていれば、全てを燃やし尽くすほどに戦っていただろう。

他国が恵まれていた説

韓国がこれまで敗れた相手を調べると見えてくるものがある。

彼らは規模が拡大した1996年大会から2011年大会まの5大会、決勝トーナメントで必ずイラン代表と対戦しているということだ。

イラン代表は前述の通り1976年以来優勝がないものの、大会唯一の3連覇を成し遂げたチームであり、彼らがアジアで有数の力を持つことは周知の事実である。

そんな相手と5大会も連続で当たったいうのも驚きだが、直接成績は韓国が3勝2敗で勝ち越している。しかし韓国が勝利した3試合全てが延長戦、そのうち2試合がPKでの勝利という死闘であり、薄氷を踏む思いでの勝利であった。

その影響があったのだろうか。韓国はこのイラン戦を勝利した後の試合に必ず敗れているのだ(相手はサウジアラビア、イラク、日本)。

ちなみに韓国に勝利した時のイランもまた、その次の試合で二度とも敗れている。これらの事実はアジアの強大な二つの国が衝突したことによる消耗度の激しさを示すものだ。

言い換えれば、他国は疲弊した韓国と対戦できる「漁夫の利」を得ていたのであり、組み合わせに恵まれていたといっても過言ではないだろう。

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