「空母いぶき」 原作の「中国軍」どう描く? 5月劇場公開 現実と虚構の〝クロス感〟

映画「空母いぶき」の公開画像、西島秀俊さん(左)と佐々木蔵之介さん(右)=キノフィルムズ提供

 漫画家かわぐちかいじさん原作の映画「空母いぶき」が今年5月24日、劇場公開される。原作では沖縄県の尖閣諸島や与那国島に中国軍が侵攻。海上自衛隊の空母型護衛艦「いぶき」、F35ステルス戦闘機、イージス艦、潜水艦、陸自特殊作戦群の部隊と戦火を交える。年末の新防衛大綱で護衛艦「いずも」「かが」の空母化、F35の艦載機化が決まり、リアリティを感じさせるフィクションと評判のストーリーが映画でどう描かれるか関心が持たれる。

(共同通信=柴田友明)

 戦後日本、自衛隊の在り方を正面から捉え直した漫画「沈黙の艦隊」「ジパング」でも知られるかわぐちさんは、ビッグコミック(小学館)で連載中の「空母いぶき」について昨年、共同通信のインタビューに答えている。「起きてはならないけれど、ひょっとしたら起こるかもしれない。そんな出来事を描いた作品なので、うそがあってはいけないし、でも現実とは違う。そこが難しい」(2018年4月24日、共同通信記事)。

 原作は現在11巻まで刊行され、累計400万部のヒット作となった。昨年5月に亡くなった軍事ジャーナリスト惠谷治さんが協力。日本初の原潜が独立国家を宣言する「沈黙の艦隊」、太平洋戦争の時代にタイムスリップする海自イージス艦を描いた「ジパング」も有名だが、この2作品と比べてSFのような虚構性が少なくなり、より現実に引き込まれるような作品になったと筆者は感じる。漫画では日中双方のステルス戦闘機、潜水艦の対決など、具体的で生々し過ぎるぐらいのシーンが登場する。

 映画ではその「中国軍」が登場せず、「国籍不明の軍事勢力による突然の襲撃」「戦後、日本が経験したことのない24時間」という筋書きを設定している。

 西島秀俊さんが主演、「緊迫の事態」に直面する艦長役を演じる。副長役の佐々木蔵之介さん、首相役の佐藤浩市さんのほか、中井貴一さん、高嶋政宏さん、玉木宏さんが出演。原作にはないが、本田翼さんが取材のため艦船に乗り合わせた女性記者役として登場する。監督は若松節朗さん。

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