長崎県交通局採用試験に疑義 幹部が誘った男性だけ合格

 昨年秋に長崎県交通局が実施した営業職員の採用試験に対し、複数の民間事業者から疑問の声が出ている。試験は4人が受験したが、同局の幹部が受験するように誘った男性1人だけが合格した。同局は「あくまでも能力と適性を判断した」とし、不正はなかったと説明している。
 関係者や同局によると、合格した男性は諫早市の会社に勤務し、貸し切りバスの手配や受注を担当。昨年9月10日に退職し、10月に県交通局の採用試験に応募。11月に面接を受けて合格した。受験前、仕事上のつながりがあった県交通局幹部から「試験を受けないか」と誘われていたという。
 男性は退職直前の昨年9月3~6日と7、8両日、高校生を送迎する貸し切りバス輸送の仕事を、この県交通局幹部に紹介。同局側は約30万円の収入を得た。男性が勤務していた会社関係者は「うちのバスは当時、空車が多かったのに県営バスに紹介した」と問題視している。
 県交通局は昨年8月末、1人程度の採用を念頭に職員の公募を開始した。「男性を誘った幹部は採用選考に携わっていない」と説明。「面接官5人のうち4人は、職員が諫早の会社で貸し切りバスの手配を県営バスにしていたことを知らなかった。試験は適切に行われた」としている。

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