日本美術の伝統を生かしながら、新しい表現を追求してきた日本画の研究団体、日本美術院による公募展「再興第103回院展」が2日、横浜駅東口のそごう美術館で始まった。17日まで。神奈川新聞社などの主催。
受賞作品のほか、同美術院の同人や、県内出身・在住の画家による作品など計86点を展示。大家から若手まで、独創性あふれる力作を堪能できる。
同美術院は、横浜出身の思想家、岡倉天心を中心に、横山大観、菱田春草、下村観山らが1898年に創立。東京・谷中から茨城・五浦に拠点を移したが、1914年、前年に亡くなった天心の意を受けて谷中に再興し、日本画壇で中心的な役割を果たしてきた。
同人の伊藤髟耳(ほうじ)さん(80)=横浜市泉区=の作品「はるか・金華山」は、さまざまな濃淡の緑色や山吹色、灰色などで、パズルのピースのように色分けして木々が生い茂る山を表現。同じ色を15回を目安に塗り重ねるといい、美しい発色と岩絵の具の質感が伝わる。
同館の市塚寛子学芸員は「個性豊かな日本画を、院展では一度に見ることができる。色使いがポップだったり、日常のひとこまがモチーフになっていたり、と意外に親しみやすい作品もある。印刷では分からない色や質感を、間近に見て味わってほしい」と話した。
入場料は一般800円、高校・大学生600円、中学生以下無料。問い合わせは同館電話045(465)5515。