サッカーJ2のV・ファーレン長崎は今季、9人の新戦力を迎えた。「1年でのJ1復帰」を掲げ、経験豊富な選手を中心に補強したのが最大の特徴。「FW、MF編」と「DF、GK編」に分けて、期待の新加入組を紹介する。
昨季の得点源だった選手が多数移籍したため、前線の新加入選手には自らのコンディションを上げるとともに、開幕までにチームにフィットする順応力が求められている。速さ、高さ、強さ、巧みさと個性際立つ即戦力級がそろった印象で、1月の沖縄キャンプではそれぞれが順調な仕上がりをアピールしていた。
目を見張るプレーを見せたのは、韓国Kリーグ蔚山(ウルサン)から期限付き移籍してきた元韓国代表FWの李宗浩(イジョンホ)(26)。J1・FC東京との練習試合であいさつ代わりの一発を決め、エースストライカーに名乗りを上げた。今季の目標を「20得点。アシストも合わせると25点」に設定。リーグ得点王も視野に入れている。
動き回ってパスを求め、パワフルなドリブル、周りの選手との連係で崩していくプレースタイル。Kリーグの8年間で通算49得点を記録している。ゴール後の派手なパフォーマンスからはムードメーカーの側面もうかがえる。開幕戦の2月24日は自身27歳の誕生日。メモリアルゴールで好スタートを切りたい。
J2岡山から獲得した攻撃的MFの大竹洋平(29)も、J2千葉との練習試合でミドル弾を決めた。左足の柔らかいタッチで好機を演出する天才肌は「技術的な部分は誰にも負けたくない。攻撃の部分で違いを生み出したい」と新天地での飛躍を誓う。
プロ生活では両膝前十字靱帯(じんたい)の損傷など度重なるけがに泣き、岡山での2年間も開幕前の故障が尾を引いた。類いまれなセンスを持っているだけに、試合に出続けるための体調管理には細心の注意を払いたい。
身長187センチの長谷川悠(31)は高さだけではなく、足元の器用さも併せ持ち、最前線でボールの収めどころになる。昨季までのプロ13年間で多数のクラブを渡り歩き、V長崎は延べ9クラブ目。前所属の清水ではJ1昇格に貢献しながらも、その後は出場機会を得られない悔しさを味わった。「手っ取り早いのは結果を出すこと。調子はキープできている」。静かな口調に今季に懸ける決意がにじむ。
移籍組の最大の目玉は、やはりJ1名古屋から獲得した元日本代表FWの玉田圭司(38)。切れ味鋭いスピードを持ち味にするアタッカーは、キャリアを重ねるごとに中盤でのボールのさばき、献身的な守備などプレーの幅も広がってきた。
「求められる役割は一つではない。得点ももちろん狙うけれど、いろんなプレーができると思っている」。頼もしいベテランは、チーム最年長としてピッチ外でも雰囲気づくりに気を配っている。
このほか、J3沼津で昨季8ゴールと活躍した畑潤基(24)が期限付き移籍から復帰。同じく昨夏からJ3富山に期限付き移籍していた吉岡雅和(23)=南島原市出身=も戻り、チーム内の競争も激しくなりそうだ。