接合石器「偶然」に発見 遺跡調査の成果を紹介 綾瀬

 綾瀬市内などで行われた遺跡調査の成果を紹介する歴史講演会「接合石器からみる人の移動」が3日、市役所(同市早川)で開かれ、市民ら45人が参加した。市教育委員会の主催。

 対象となったのは市内最南部の吉岡遺跡と藤沢市の用田鳥居前遺跡。愛知県蟹江町教育委員会の吉田政行さん(49)と、かながわ考古学財団の栗原伸好さん(50)が講師を務めた。2人は1990年代に発掘調査をそれぞれ担当しており、当時は同財団に所属していた。

 約2キロ離れた両遺跡からは多数のナイフ型石器が見つかったが、そのうちの6点で接合面の一致が確認でき、貴重な発見とされた。栗原さんは「発掘時期や整理作業を同じ建物内で行っていたなど、偶然が重なった」と発見時のエピソードを披露した。

 吉岡遺跡を担当した吉田さんは「約2万年前にこの地で暮らしていた人たちは吉岡を生活の拠点に、用田を狩猟のための野営地にしていたことが調査からみえた。吉岡で石器を製造、その一部を持ち歩いていたのだろう」と移動生活の様子を解説した。

 綾瀬市史跡ガイドボランティアの会では、講演会で紹介された両遺跡などを巡る企画ガイドを19日に開催する。参加費300円。申し込み先は小川さん電話0467(76)7598。

遺跡発掘担当者を招いた歴史講演会=綾瀬市役所

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