国内外6大学と連携 対馬高生 外国語、歴史 学び深める 出張講義や遠隔授業、幅広く

 島内に大学がない対馬市で、厳原町の県立対馬高(立木貴文校長、476人)が国内外の大学と連携した授業に取り組んでいる。大学教員の出張講義や遠隔授業を通じ、生徒が外国語や歴史など幅広い分野で学びを深めている。
 長崎県は本年度から3年間、文部科学省の実証研究「遠隔教育システムを用いた国内外の大学等との連携による教育効果」を受託。県教委は対馬高のほか、同じ離島地域の県立壱岐高(壱岐市)を研究指定校に定め、グローバル人材の育成などを目指している。
 対馬高では、県立大や長崎外国語大、九州国際大(北九州市)、釜山外国語大(韓国・釜山市)など6大学と連携し韓国語や英語、日本史の授業をしている。
 県立大公共政策学科の松尾晋一教授(日本近世史)は昨年12月14日、対馬で朝鮮通信使に関するフィールドワークをした。日本史を学ぶ約40人と厳原町の朝鮮通信使ゆかりの地を訪ね、解説。普通科2年の山下奏(かなで)さん(16)は「教科書に載っている出来事が身近な場所で起きたことを実感した」と話した。松尾教授は1月11日、テレビ会議システムで遠隔授業もした。
 長崎外国語大国際コミュニケーション学科の佐々木正徳准教授(韓国社会・文化論)は、同30日、対馬高国際文化交流コース2年の約20人に韓国語の遠隔授業をした。「語彙(ごい)を増やそう」をテーマに、単語の意味をクイズ形式で出題。受講した藤山恵緑(めろ)さん(17)は「知らない単語もあって勉強になった。もっと韓国語を勉強して大学に進学したい」と話した。
 対馬高の北村富啓教頭は「離島で大学の学びに触れることは少なかったが、出張講義や遠隔授業を通して学問の奥深さに触れ、進学に向けた動機につなげることもできる。さらに充実させていきたい」としている。

県立対馬高の生徒と朝鮮通信使に関するフィールドワークを行う県立大の松尾教授(左から3人目)や県立大生(右)=対馬市厳原町国分、西山寺
テレビ会議システムを通じて長崎外国語大の佐々木准教授から韓国語の遠隔授業を受ける生徒=対馬高

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