笑顔で「ばあば」返事したい 認知症の祖母への思い作文に

 全国の認知症キッズサポーターの作品や活動を審査する本年度のコンテスト(全国キャラバン・メイト連絡協議会主催)で、長崎県五島市立三井楽中2年の濱里桜(おう)さん(14)が書いた作文「認知症の二人の祖母に私ができること」が、最優秀賞に選ばれた。2日に東京で表彰式があり、6日は市役所で野口市太郎市長に受賞を報告した。

認知症の祖母2人への思いをつづった作文で最優秀賞を受けた濱里さん=五島市立三井楽中

 同協議会は、認知症の正しい知識を持ち、当事者や家族を支援する「サポーター」の養成に取り組む。昨年から高校生以下のサポーターを対象に認知症に関する作文や啓発ポスター、詩などを募集し表彰。今回は全国の団体・個人から14作品の応募があった。
 濱里さんの祖母は、それぞれ「若年性アルツハイマー病」と「脳血管性認知症」を患い、現在は県外の老人ホームに入所。濱里さんは、突然怒ったり大声を出したりする2人とうまくコミュニケーションを取れず、「怖い」と感じて距離を置いていたという。
 転機は昨夏、母親に勧められて市内で受けたキッズサポーター養成講座。「認知症の症状は周囲の対応次第で変わる」と学び、どうすればいいか分からず無視してしまった今までの自分を反省。その上で「笑顔で『ばあば、どうしたの』と返事をしよう」「何度でも丁寧に教えてあげたい」と決意した。さらに「言葉で伝えることが無理なら、そっと背中に手を触れ、両親を産んでくれたことに感謝を伝えたい」とつづった。
 受賞について祖父とは電話で話したが、祖母はまだで「次会った時に直接伝えたい」と濱里さん。「高齢化で認知症の人は今後さらに増えるので、地域全体で支えることが必要。認知症の人を変えようとするのではなく、自分が変わることで、お互い気持ちよく過ごせて信頼関係が生まれると思う」と話している。

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