ロボット遠隔操作で家事代行 川崎の企業がシステム開発

 増え続ける共働き世帯の生活を支えようと、川崎市高津区のベンチャー企業「Mira Robotics」(松井健代表取締役CEO)が、ロボットを遠隔操作して家事を代行するシステムを開発した。当面は洗濯に特化したサービスだが、ゆくゆくは掃除など担える家事の範囲も広げていく。7日に発表会に臨んだ同社は2020年の本格稼働を目指すとした。 

 提供するサービスは「ugo(ユーゴー)」。昨年2月に開発に乗り出した同社は、グループ内に家事代行サービス会社を持つ人材派遣会社「パソナ」と業務提携し、ノウハウを共有するなど研究を進めてきた。

 利用者の自宅にロボットを置き、専門のオペレーターによる遠隔操作で家事をこなす。人間による家事支援では、他人を家に入れるという心理的ハードルやプライバシーの問題、高額費用などの課題があったが、ロボットに任せることで解消できるとしている。

 留守中に安心して利用できるようロボットにはプライバシー保護機能を搭載。利用者はスマートフォンの専用アプリから家事を依頼し、オペレーターは許可なくロボットを操作することはできない。家事に必要な範囲のみ動くよう制御することも可能。衣類も形状は分かるがそれ自体が見えないようにフィルタリングされ、書類の文字なども見えないようにする。

 ロボットは高さ110センチ、重さは72キロ。2本のアームを備え、おおよそ高さ30センチ~2メートルの範囲で作業が可能という。階段の移動はできないが、部屋とベランダなどの行き来はスロープをあらかじめ設置することで補えるという。

 7日に東京都内で行われたデモンストレーションでは、ゆっくりとした動作ながら2本のアームを器用に使い、洗濯機から取り出したタオルを物干しに掛け、テーブルの上の衣類を畳んだ。

 人間による家事代行サービスは月5万~10万円が相場だが、ugoは月額2万~2万5千円程度での提供を予定。ロボット自体はレンタル提供となる。本格稼働に向けて、首都圏のマンションに住む複数の家庭でユーザーテストも行う。

 遠隔操作で得られたデータを蓄積することで、今後はシステムの段階的な進化も模索。繰り返しの動作を自動化し、最終的には人工知能(AI)による作動を目指す。松井CEOは「共働き世帯はこの20年で24%も増え、1188万世帯にもなる。今後は家事だけではなく、介護や保育にもサービスを広げたい」と意欲を語った。

家事代行ロボットによるサービス「ugo」の説明をするMira Robotics社の松井健CEO=東京都内

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