男性の抗体検査無料化 神奈川県独自で30代、50代後半も 風疹対策

 神奈川県は4月から、首都圏を中心に患者数が増加している風疹の新たな対策に乗りだす。2019年度当初予算案に、総額1億3千万円を計上。国の対策から外れた30代と50代後半の男性の抗体検査を無料化するほか、市町村への補助を拡充する。黒岩祐治知事は「どこよりも先に『風疹撲滅』と宣言したからには、それに向かってしっかりやっていきたい」と述べた。

 県独自の新たな抗体検査無料化の対象は、保健所設置市(横浜、川崎、相模原、横須賀、藤沢、茅ケ崎の6市)以外の県内に住む、31~39歳と57~60歳(4月1日時点)の男性。

 国は今春から22年3月末にかけて、子供のころに予防接種の機会がなかったため、感染リスクが特に高いとされる40~56歳(同)の男性の抗体検査と予防接種を原則無料にする。ただ、神奈川など大都市を中心に30~50代の男性患者の報告が増えており、県も対策を強化。県が費用を負担し、国の対策から外れた年代に風疹の免疫の有無を調べる抗体検査を受けてもらう。検査の結果、抗体価が低ければ予防接種を受けるように勧める。

 自治体への補助も拡充する。保健所設置市が国の対策から外れた30代と50代後半の男性の抗体検査費用を助成した場合、助成費用の3分の1を県が補助する事業を新たに始める。

 妊娠希望の女性や、そのパートナーを対象に抗体検査を無料化する既存事業は4月以降も継続する。

 風疹は妊娠初期の女性が感染すると、赤ちゃんに難聴や白内障などさまざまな先天異常が起こる可能性がある。県はこれまで、予防接種の大切さを女子大学生がPRする動画を作成するなどの風疹撲滅キャンペーンを展開してきた。

 県によると、昨年の県内の患者数は402人(男性331人、女性71人)。このうち30~50代の男性が65.9%を占め、県は昨年12月に風疹非常事態宣言を出した。今年も今月3日までに57人(男性46人、女性11人)の報告があるという。

神奈川県庁

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