キャンセル料の確認ミスで大慌てしないために。宿経営者が教える、キャンセルポリシー事情

現在は、「早期割引3か月前予約 返金不可」「当日14時までキャンセル可」など、ホテルによって、プランによってキャンセルチャージの設定が複雑になっています。

2つの宿を経営する筆者が、宿側の立場からの事情を一部お話します。

返金不可プランのねらい

ビジネスホテルの中には当日キャンセル無料とするところもあります。一方、大型で施設の充実しているホテルでは3か月前、2か月前の予約に対して大幅な割引をする代わりに、予約後はキャンセル料が100%かかるという「返金不可」というプランの販売が多くなっているようです。

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大型のホテルはランニングコストがかかります。たとえ部屋が埋まらなくても、従業員、冷暖房、設備メンテナンス、建築費の償還などに経費がかかります。そこで、利益が小さくても、早期の予約時点で収益が確定できるプランを設定し、経営の安定を図ります。入会金や年会費を払うシステムのタイムシェアも同じ意図です。

割引率が大きいことが魅力ですが、先のことなので行けなくなることもあります。行けなくなったキャンセル不可の予約を売れるオークションサイトもついに登場しました。予約者の名前の変更まで行ってくれます。

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https://jp.cansell.com

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仮予約の多発問題

スマートフォンやアプリの普及により、とりあえず予約する「仮予約」が激増しています。

繁忙期、または週末はほとんど満室になるにも関わらず、未確定な仮予約を受けると、他の予約はその間取れなくなり、キャンセルのタイミングによっては部屋が埋まらなくなります。これを防ぐことが最近の宿の課題です。

解決策の1つとして、予約時点に何%かキャンセル料(予約手数料)を設定することがあります。

また、クレジットカード事前決済プランにするという方法もあります。この場合はキャンセルチャージが発生する前にキャンセルを行えば全額返金されることになりますが、予約者の口座から一度引き落とされるということが安易な仮予約を防ぐことにつながるようです。

筆者は2つの小さな宿を沖縄の離島で経営していますが、同じ日程で同じ人が2つの宿を予約してくることがあります。キャンセル料が発生する前にどちらかをキャンセルするだろうと思っていると、2つともキャンセルしてくることが多いのです。さらに他の宿もいくつか予約しているのでしょう。

航空券との予約のタイミング

また外国の方をターゲットにしている宿ではキャンセルチャージの発生が早いことがあります。ハワイのコンドミニアムなどでは通常プランでも2か月前から100%のところがあります。これは国際線の飛行機を予約した時点で宿を予約する人が多く、逆に言えば、直前で探す人が少ないからです。

「キャンセルポリシーを確認しなかった」「キャンセルし忘れた」などの問い合わせが増えています。宿側はデータや予測をもとに慎重にキャンセルポリシーを定めています。たとえスマートフォンやアプリで手軽に予約できても、キャンセルポリシー、宿泊条件はしっかり確認しましょう。

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